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自治体の皆さまへ

ひまわりNO.523

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三重県名張市

■「気にせんよ」じゃあ、ない!
私は23年前、三重県内に越して来ました。あと一週間ほどで引っ越しというころ、雑談していた知人から、「今度の引っ越し先って被差別部落なんだろ」と尋ねられました。私にとってはまったく寝耳に水の話だったのですが、「ふーん、そうなん?でも、別に気にせんよ」と答えました。実際気にもしていませんでしたし、「今どき部落差別なんて、何言ってるんだ」という思いもあったからです。その時は…。
でも、実際に新しい住まいでの生活が始まりしばらくしたころ、私はあることに違和感を覚えます。自分の住所を書くこと、口にすることをためらう私がそこにいたのです。当時、私の自己紹介は、「こちらに越してきました」で始まりました。この被差別部落の生まれではないことを強調していたのです。
なぜ?被差別部落の人間と思われて、部落差別の対象にされたくないという一心だったのです。
被差別部落の人間かどうかは、その人がそこに生まれたかどうかだけではなく、今、そこに住んでいるか、以前、住んだことがあるか、両親はどうか、祖父母はどうかなど、さまざまな「基準」によって「認識・認定」されます。これは多くの意識調査でも明らかになっています。いくら「引っ越してきた」といったところで、被差別部落出身の人間とみなされれば差別の対象になり得るのが部落差別です。
あの時の知人への、「別に気にせんよ」という私の一言は、「部落差別なんて部落出身でない自分には関係ない、そんなこと気にもならない」という、部落差別の存在を知りながら、それを傍観(容認)することに何も感じないという差別心そのものだったのです。
この気付きは私にとって大きな転機になりました。部落差別を関係ないと言いながら、自らに関わると思えばいとも簡単に差別する側に立つ、そんな差別心を持った自分自身を見せつけられた私。「それでいいのか?どう克服するのか?」を自らに問い、生き方につなげることの大切さを考えさせられました。
人と人の関係で成り立っている社会。その一員である私たちにとって「別に関係ない、別に気にしなくてよいこと」なんて、実は存在しないのではないでしょうか。
毎月11日は「人権を確かめ合う日」ご意見は人権・男女共同参画推進室(【電話】63-7909)へ

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