■受け継ぐ思いを鉄路で運ぶ
[伊賀一ノ井松明調進行事]
奈良東大寺の二月堂で行われる「お水取り」。関西地方に春を呼ぶ行事として有名です。このお水取りで使われる松明は、赤目町一ノ井から調進(ととのえて納めること)されています。昔は、約35キロある松明木を担いで峠を越え、東大寺まで運んでいました。今年は、松明調進を広く知ってもらおうと、近鉄電車を貸し切り、松明木を運ぶ初めてのツアーを開催しました。
当日は、あいにくの雨。松明講員やツアー客、近大高専の生徒などが、ずぶ濡れになりながらも、東大寺を目指しました。参加した30代の男性は、「昔の人は、こんな重たい松明木を担いで山道を歩いていたなんて。長年、行事を守り続けてきた人の思いや歴史の重みを感じるツアーだった」と話しました。ぜひ、来年は、あなたも750年以上続く歴史を体感してみてはいかがでしょうか?
◇歴史の重みを伝えたい
今年は近鉄にご協力いただき、ツアーを企画。約150人の参加者に松明調進の歴史を肌で感じてもらうことができました。松明木は重いですが、歴史はもっと重い。担ぎ手が高齢化しているため、電車を使ったり、今回参加した近大高専の生徒たちなど若い人にも手伝ってもらいながら、776年続く歴史を次代へとつないでいきたいですね。
語るひと
森本芳文さん(伊賀一ノ井松明講)
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