「名張かわまちづくり一体型浸水対策事業」の進捗状況や事業内容をお伝えします。
■宇陀川左岸に地域振興拠点
国土交通省の「名張かわまちづくり」計画に、「地域振興拠点」整備が追加されています(昨年9月に伝達式)。
地域振興拠点として、宇陀川左岸に広場や駐車場、トイレ、遊具などを設ける予定です。活用方法については、今後、市や名張地区まちづくり協議会、商工会議所、観光協会などでつくる「名張かわまちづくり協議会」で話し合っていきます。
■interview 「治水」と「親水」を合わせた事業です
国土交通省近畿地方整備局木津川上流河川事務所 吉田公則 所長
◇名張川の洪水被害を防ぐ
名張川と宇陀川の合流地点付近は川幅が狭く、市街地が近いので、かつて伊勢湾台風で大きな被害をもたらしました。近年は、ゲリラ豪雨など想定外の豪雨災害も増えていて、青蓮寺ダム、室生ダム、比奈知ダムの洪水調整機能をさらに発揮させる必要があります。
そこで、国土交通省は、令和元年度に「名張かわまちづくり一体型浸水対策事業」に着手。名張川と宇陀川の合流地点付近の左岸約1kmに堤を築き、河道を掘削して川幅を約2倍に広げる「引堤」を行っています。
今年度中には、黒田橋と名張大橋間の引堤工事に着手。来年度後半には、黒田橋、名張大橋も新しい姿が現れる予定です。これら黒田地区の工事は第1.期事業に位置付けていて、総工費は約100億円。事業完了まであと数年かかる見込みです。第1.期事業に続き、狭く湾曲している下流域(朝日町、東町付近)でも「引堤」を行う第2.期事業を進めていきます。
◇水辺に親しめる空間を
本事業は、洪水の危険性を減らすだけでなく、通路や護岸などの整備を通じて、水辺に親しめる空間を生み出すことも目的としていて、完成した階段護岸や河川スロープは、名張川納涼花火大会や、やなせ宿の催しなどにも活用いただいています。また、河川敷に新たに整備する親水広場の活用方法は、地域の皆さんや関係団体で構成される「かわまちづくり協議会」で検討いただきます。
黒田地区の工事もいよいよ終盤に差し掛かってきました。今後も、河川改修と共に、地域活性化や観光振興に向けて、地域の皆さんと連携して取り組んでいきたいと考えています。
問合せ:国土交通省木津川上流河川事務所
【電話】63-1611
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