■時代を超える美しさ 伊賀組紐
伊賀組紐(くみひも)は廣澤徳三郎(ひろさわとくさぶろう)が、東京から江戸組紐の技術を修得して故郷に帰り、明治25年に現伊賀市内に工場を開設したことが始まり。昭和初期には、伊賀地域で多くの工場が組紐を製造するようになり、東京・京都と並ぶ3大産地と言われるようになりました。
組紐はもともと、王朝貴族の束帯(そくたい)などに使われるとても高貴なもの。江戸時代には日本刀の飾り紐や、甲冑などにも使われていました。かつては、職人に発注して自分だけの特別な組紐を作っており「どんな組紐を身につけているかで、その人の立場や、センスが分かる」と言われていたそう。「高麗組(こうらいぐみ)」「唐組(からくみ)」「貝の口組(かいのくちくみ)」など、組み方にも様々なパターンがあり、見比べるのも楽しみのひとつです。
生活様式が変わり、着物を着る機会が減ったことで、組紐を使用することも減っていますが、伊賀組紐はまだまだ進化中。素敵なアクセサリーやインテリアなどが作られています。時代は変わっても、手にした人の特別な逸品であり続けています。
◇組紐に興味を持つきっかけになれば
多くの人に組紐を知ってもらいたい。そんな思いから、工房を「伊賀まちかど博物館」として、組紐体験や、作品の展示をしています。
今は、ものづくりをする機会があまりないと思うんです。そうした中、毎年実施している、美旗小学校4年生への伝統産業の学習や名張高校定時制の学生への組紐作り体験では、「夢中で作った」「もっとやりたい」など嬉しい声も。自分で作る楽しさを知ってもらうことで、伊賀組紐が心に残り、興味を持ってくれると嬉しいですね。
▽語るひと
中内中(ひとし)さん
中内組紐工房/堤側庵ギャラリー
◇組紐体験をしてみませんか?
場所:中内組紐工房(新田)
開館時間:11:00~18:00
◎5人以上の団体で受付
組紐体験(結び)2,000円 ※要予約
ギャラリーの見学は無料
【電話】65-3002
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