■名酒の里で乾杯
昨年12月、「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、注目度が増している日本酒。国内出荷量が減少する一方で、海外での日本食ブームを背景に輸出量は増加傾向にあります。
酒造りに重要な要素は「米」と「水」、そして「気候」。伊賀盆地は、良質な酒米が育つ産地であり、四方を囲む山々から湧き出る清水も豊富。そして、底冷えする冬の気候は、お酒を低温でじっくりと発酵させてくれます。そんな条件を兼ね備えた名張は、まさに名酒の里。伊勢志摩サミットでは、名張の酒蔵のお酒も、乾杯酒や、食中酒として各国首脳に振る舞われ、その魅力を伝えています。
名張の酒造りは、鍛冶町の辻源兵衛という人物によって1621年に始まったとされます。脈々と受け継がれてきた伝統産業・文化を守り育んでいこうと、2013年には県内初の「伊賀名張の酒・名酒で乾杯を推進する条例」を制定。今宵は、伊賀米や伊賀牛など地元の美味しい食材とともに、伊賀酒で乾杯といきませんか!
三重大学の留学生が参加した酒蔵見学会(名古屋国税局主催)。訪れた瀧自慢酒造では、日本酒の元となる「もろみ」をかき混ぜる体験も。
■酒造りに欠かせないのは、素材の魅力を引き出す職人技
赤目滝の伏流水と、主に伊賀地方の酒米を使ってこだわりの伊賀酒を仕込んでいます。米と米麹こうじと水というシンプルな原料だからこそ、酒造りには、素材の魅力を引き出す職人技が欠かせません。
精米・洗米といった最初の工程から「きっちり丁寧に」が鉄則。最も重要なのは、酒米を蒸して麹を造る場面。経験と勘を頼りに、丸2日間を通しての温度や湿度の繊細な管理が求められます。
仕込みの手法や手順を変えれば、多様な味と香りを生み出せます。和食と組み合わせたバラエティ豊かな魅力を、海外にも発信していけるといいですね。
▽語るひと
杉本隆司さん
瀧自慢酒造株式会社 代表取締役
酒蔵を訪れた留学生は、にごり生酒や純米大吟醸などテイストの異なる6種類を飲み比べ。市内の日本料理店が用意したブリの生ハムや巻き寿司、漬物などと共に舌鼓。「お酒の違いを楽しめた」「料理の味が生かされていた」「自分の国にはない、甘口のお酒が気に入った」と大好評!
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