■経典(きょうてん)を見守る巨木
北山町の市指定史跡「経塚(きょうづか)公園」の巨大なヒノキをご存じでしょうか。この巨木は経塚の目印として植えられ、木の下の石組みの土盛りが経塚と伝えられています。
経塚とは、弥勒菩薩(みろくぼさつ)が姿を現す遠い未来まで仏の教えを伝えるため、経典を土に埋め塚としたものです。末法思想(まっぽうしそう)が広がる平安時代中期に多く築かれ、のちに追善供養(ついぜんくよう)や現生利益(げんぜりやく)を祈るためにも作られました。また、経塚には仏像や仏具、鏡や装身具、武器、貨幣なども一緒に納められることがありました。
江戸時代の郷土誌「勢陽五鈴遺響(せいようごれいいきょう)」には、この経塚から経文が書かれた石が出土したとあります。また、かつてこの付近にあった西徳寺(さいとくじ)が、織田信長の兵火で焼失した際、寺の僧侶がこの場所に大般若経を埋めたと伝えられています。もしかすると、大般若経以外にも何かを埋めたのかもしれません。
幹回り3.6mの巨木となった経塚公園のヒノキは、当時の人々のはるか未来への願いを今後も見守り続けていくことでしょう。
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