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自治体の皆さまへ

特集 共に生きる 社会を目指して(2)

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三重県四日市市

■合理的配慮に向けた対話
合理的配慮の提供をするためには、障害のある人が合理的配慮を求めるだけではなく、事業者とともに対話を重ねて、解決策を考えることが重要です。この双方のやり取りを「建設的対話」と言います。たとえ、障害のある人からの申し出に対応することが難しくとも、互いの持っている情報や意見を伝え合い、対話をすることで、目的に応じた方法を探ることができます。
建設的対話を一方的に拒むことは、合理的配慮の提供義務違反になることもあります。

●車いす利用者とライブハウス事業者の建設的対話
▽障害のある人(車いす利用者)
そちらのライブハウスで開催されるコンサートの通常席チケットを1枚お願いします。
当日は車いすで参加する予定です。

▽事業者(ライブハウス)
以前、他の参加者と車いすの方がぶつかってケガをしてしまったことがあったな。

このアーティストのコンサートの通常席は立見席のみで、通常席エリアを自由に動き回ったり、飛んだり跳ねたりされる参加者が大勢いらっしゃいます。このため、バランスを崩した参加者が車いす利用者の方に倒れこんでケガをされるおそれがあります。値段は高くなりますが、特別席なら他の参加者とぶつかる心配もありませんし、通常席にはない特典もありますがいかがでしょうか。

▽障害のある人(車いす利用者)
特別席のチケットは値段が高いので購入が難しいです。
車いすでも通常席に参加できるような手段は何かないでしょうか。通常席での参加ができるなら、他の立見席の参加者のように自由に動き回れなくても構いません。

▽事業者(ライブハウス)
障害者差別解消法に基づけば、過去例だけで一律に判断せず、個別のお客様に応じて対応を検討する必要があるんだったな。
何か工夫できることはあるだろうか。

例えば通常席のエリアを一部区切って車いす用スペースを設け、そのスペースでコンサートを鑑賞していただくというのはいかがでしょうか。
この方法ですと、あちこち移動することは難しくなりますが、安全性を確保した上で、通常席に参加してもらえると思います。

▽障害のある人(車いす利用者)
車いす用スペースでの鑑賞でも大丈夫です。
通常席で鑑賞できるようで安心しました。

▽事業者(ライブハウス)
承知いたしました。
それではコンサート当日は車いす用スペースを用意しておくようにします。
ご来場、お待ちしています。

●ちょっと待った!対話でさけるべき考え方
「前例がないので、対応できません」
合理的配慮の提供は個別の状況に応じて柔軟に検討する必要があります。前例がないことは断る理由にはなりません

「障害のある人だけを特別扱いできません」
合理的配慮は障害のある人もない人も、同じように活動できる状況を整えることが目的です。「特別扱い」ではありません

「もし何かあったらいけないので、対応できません」
漠然としたリスクの可能性だけでは断る理由になりません

「〇〇の障害のある人は、対応できません」
同じ障害でも程度などによって適切な配慮が異なるので、ひとくくりにせず、個別に検討する必要があります

■障害がある立場から
障害がある人から見た、合理的な配慮やバリアフリー化について、お話を伺いました。
今回インタビューに答えていただいた 青木健太さん

▽バリアフリーだけじゃない
首から下が動かず、人工呼吸器が必要なので、外出するときは、大型車いすで移動します。バリアフリー化が進んで、スロープがあるところは増えてきましたが、廊下が狭くて、曲がり角で曲がれなかったり、エレベーターの奥行きが狭かったりで、行きたいと思ったところへ行けないことはよくあります。初めての場所に行く時には、事前に、同行してもらう人や家族に下見をお願いすることも多いです。カラオケに行きたいと思っても店までの道が狭かったり、エレベーターに乗れなかったりして、難しいですね。
バリアフリーといっても、すべての障害に対応できるわけではありません。例えば、古めのビルだとエレベーターにまず乗れませんが、すぐにエレベーターを変えることは難しいと思います。大きな車いすで行けるお店を表示したマップを作成し、同じ障害を持つ人に発信することができれば、同じ障害を持つ人の外出の機会を増やすことができるのではないかと考えています。

▽障害があっても働ける
今の福祉サービスの会社では3年ほど働いています。CSR推進室に所属し、海外の事例などを調査するとともに、自身の障害を含めた経験を研修として共有しています。本社は岡山県ですが、テレワークでずっと仕事をしています。前の会社でも、5年ほど在宅ワークをしていました。
スムーズに仕事ができるように、昇降機能のある机と大きなパソコンディスプレイを導入しています。テレワークなので、オンライン会議などで、進捗をこまめに共有するなど、いわゆる報・連・相(報告・連絡・相談)を大事にしています。

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