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続・尾鷲の植物誌

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三重県尾鷲市

■クサヤツデ(キク科)
そろそろクサヤツデが咲き出すころではと思い、昨年見たところへ行ってみると、地際から出ている長い花茎に小さなたくさんの花が咲いていました。クサヤツデは川岸や山中の木陰に生え、神奈川県から紀伊半島の太平洋側、四国、九州に分布していますが、神奈川県では1950年代に絶滅しています。花期は9月~11月、葉がヤツデに似ているところから草八手(くさやつで)の名がついています。奈良の吉野山に多いことからヨシノソウの別名も持っています。
日本列島には、シダ植物と種子植物をあわせると約7,000種類の植物が自生しています。そのうち約2,900種類は、世界でも日本だけにしかない日本固有種です。クサヤツデもその一つで、前述のように太平洋側に偏った分布をもち、特に紀伊半島、四国、九州に多く生育しています。同じような分布を示す固有種はクサヤツデの他にもいくつかあり、この地域は固有種に富んだところとなっています。
また、これらに近縁な種は中国南西部やヒマラヤ地域に生育していることから、クサヤツデなどの固有種の多くは、アジア大陸に起源をもつと考えられています。はるか昔、大陸と日本列島がくっついていた頃、日本に住み着いたクサヤツデの祖先は本州の太平洋側で独自に進化し、長い時間をかけて現生のクサヤツデが生まれたようです。

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