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続・尾鷲の植物誌

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三重県尾鷲市

■ゴバンノアシ(サガリバナ科)
海が荒れた後の浜辺には、いろいろなものが打ち上げられています。その中には、黒潮に乗って遠い南の国から海を渡ってきたのでしょうか、この地方にはない熱帯や亜熱帯の植物の果実や種子があったりします。
昨年の秋、須賀利大池の浜辺で拾ったのはゴバンノアシの果実でした。ゴバンノアシは東南アジアや南太平洋の島々など、熱帯の海岸に広く分布する常緑の高木で、沖縄県の石垣島辺りが北限になります。大きな果実が碁盤の脚に似ているところからこの名がついています。果実は厚い繊維とコルク質からなり、水によく浮き、海流によって遠くまで運ばれ分布を広げることができます。日本ではきわめて稀で、沖縄本島では冬を越すことができないそうです。
須賀利大池の浜辺に漂着したゴバンノアシの果実は、漂流期間が長かったためか、皮がはがれ中の繊維質の部分がむき出しになっていました。石垣島よりはるか南の熱帯の島から黒潮に乗り、何カ月もの航海を経て尾鷲の浜に漂着したのかもしれません。海辺に生育する植物たちは、ゴバンノアシのように水に浮くための巧みな工夫を凝らして、より遠くへ新天地を求めて旅をしています。

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