■市指定有形文化財 常声寺(じょうせいじ)の毘沙門天石像(びしゃもんてんせきぞう)
常声寺には高さ84cmの毘沙門天右象があり、向かって左の光背(こうはい)に「内宮清順上人(ないくうせいじゅんしょうにん)」と彫ってありますが、その上部が欠けていて、年号や「伊勢」の字は不明です。
八鬼山参道にある不動明王には「伊勢内宮清順上人、為頓証菩提也、永禄(えいろく)九年四月」とあって、清順上人の死を弔なったものですが、常声寺の毘沙門天にある「内宮清順上人」の書体と同じですので、この毘沙門天も永禄9年(1566年)4月、清順上人の菩提のために建立されたものでしょう。石質も八鬼山参道の不動明王と同じ硬砂岩(こうさがん)で、ともに市内最古の記銘石造物(きめいせきぞうぶつ)です。
この毘沙門天は当地方の中世における宗教状況を知る手引きとして、重要な意義をもっています。すなわち、岩屋堂の観音菩薩を中心に、脇侍(わきじ)として毘沙門天・不動明王を配すのが、中世における天台宗ですので、これらの石像は当地方中世の布教状況を、如実(にょじつ)に物語っているといえます。
参考:尾鷲市の文化財
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