■ハンゲショウ(ドクダミ科)
ハンゲショウは、湿地や水辺を好む多年草で、本州、四国、九州、沖縄に分布しています。尾鷲ではかつて矢ノ川や中川沿いの湿地にもみられましたが、埋め立てにより絶滅しています。花が咲く頃になるとよく話題に出る、三木浦町頼母(たのも)の群生地は、残された貴重な自生地と言えます。
夏至(げし)から数えて11日目は半夏生(はんげしょう)と呼ばれ、この日まで田植えを終わらせるという農作業の目安とされていました。ハンゲショウの名前の由来は、ちょうどこの頃に花が咲くことに由来すると言われています。また花の時期になると、花の側に付いている葉の下半分が白くなるので「半化粧」、「片白草」の名がついたとも言われています。
葉が白くなるのは花の時期だけで、花が終わると白くなった葉は緑色に戻ります。ハンゲショウは花茎(かけい)にたくさんの白い花を付けますが、小さくて花びらもなく、雌しべと雄しべだけで目立ちません。白くなった葉は花のありかをアピールするのに役立っているようです。葉が白くなるしくみは、花の時期になると葉を緑色にする葉緑素(ようりょくそ)が減少し、実の時期になって葉緑素がつくられるようになっているようです。
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