今年度から新規就農者として、いちご栽培をスタートした玉村さん。
初めての農業挑戦における苦労ややりがいについて、お話を伺いました。
玉村泰希(たいき)さん(田間)
新規就農者として今年度から本格的に、植え付けから出荷までを行っている玉村さん。品質の高いいちごを安定して生産し、地域の市場に届けることを目指しています。
■きっかけは?
民間企業を退職後、地元で働きたいという思いがありましたが、何が自分にできるのかと考えていた時、ふと子どもの頃の記憶がよみがえってきました。祖父や父親が農作業をしている姿を見て育った私は、自然と農業に対する関心を抱き、それがいちご作りを選ぶきっかけになったと思います。農業は一度始めると深い関わりが必要で、軽い気持ちで取り組むものではありません。その重みを理解した上でいちご栽培に挑戦する決意を固めました。
■日々課題との戦い
いちご作りを始めるために、まずは実際に農業を学べる場所を探しました。その中で玉城町の株式会社SaTiで2年間経験を積みました。最初は何もわからない状態からのスタートでしたが、社長や従業員さんなどからアドバイスを受け、毎日試行錯誤しながら技術を身につけていきました。その過程で、設備投資を抑えつつ、カビの発生がしにくい土耕栽培の方法についても学びました。そして、いざ今年度からその方法でいちご栽培を始めたわけですが、心が折れそうなときが何度もありました。それは、今まで学んできた方法を行ってもうまくいかなかったことです。日当たりや土壌の水分・栄養量が異なる中では、水や肥料をあげる量も違います。学んだことを実践したつもりでしたが、いちごが水っぽくなってしまうこともありました。そのとき、その場にあった栽培管理が必要なんだと再認識させられました。今でも、日々水分や肥料を調整しながら、試行錯誤していますが、それこそ農業の醍醐味であるとも感じています。自分が手をかけたいちごが元気に育つのを見ると、ただの作業ではなく、愛情を注いでいるという感覚が湧いてきます。
ーどんなことも喜んでもらえることがやりがいにー
■農業支援策で一歩を踏み出せた
いちご栽培を始める際に最も不安だったことは、設備に多くの費用がかかることです。しかし、その際に国などからの補助金があったことは非常にありがたかったです。この補助金がなければ、スタートを切れていなかったと思います。農業を始めようとする人がいれば、まずこうした補助金があることを知ってほしいと感じています。
■笑顔を見ることが頑張る源に
苦労を重ねながらも、現在約8000株のいちごを栽培しています。毎日約130パック分のいちごを収穫し、選別してパック詰めする作業は決して楽なものではありません。日が昇る前にヘッドライトをつけて収穫を始めることもあります。そうした中で一番過酷だったことはミツバチとの関わりです。受粉を助けるミツバチに3回刺されたことがあり、その度に痛みと戦いながら作業を続けました。それでも、農業の一部として受け入れ、重要な経験だと感じています。
そんな中でも2月に保育所の給食に自分の作ったいちごを出してもらったときのことが印象に残っています。子どもたちがいちごを食べて、笑顔を浮かべている写真を見せてもらったことは、私にとって最高のプレゼントでした。こうして人が喜んでくれることが、今までの苦労を忘れさせてくれるくらいの励みになっています。
■今後について
これからは、自分で投資した新規のハウスで栽培を始める予定です。これにより、今よりさらに忙しくなることが予想されますが、いちご栽培の極みを目指し、さらに一層努力を重ねていきたいと考えています。農業への挑戦は決して簡単なものではありませんが、同じような年代の人たちにも担い手として活躍してもらえたら何よりうれしいです。
○農業経営者への支援について
町では、さまざまな補助金により、農業経営者を支援しています。
・苺苗導入事業補助金
・農業機械購入助成事業費補助金
・麦大豆等種子導入補助金
・麦等播種作業補助金
・くり味南瓜出荷補助金 など
また、新たに農業を始める人は、「認定新規就農者」として町から認定を受けることで、無利子資金の融資や、国庫事業による補助金など、重点的に支援措置を受けることができます。
詳しくは役場産業振興課までお問い合わせください。
問合先:産業振興課
【電話】62-2416
<この記事についてアンケートにご協力ください。>