■地域に根差した、安心して働ける場所づくりを目指す
○10年が経過して、開所当時にイメージしていたシグマファームとういんと現状はどうですか?
小野寺:最初は利用者に提供する仕事を必死に探していました甘くてみずみずしいシャインマスカットが、農地も広がり農作業もある程度提供できるようになりました。屋内作業所を作ったことで、農作業の他にも部品の組み立てなどの内職を町内の企業からもいただき、仕事のボリュームが出てきています。今後は利用者一人ひとりの質をより向上させ、一般就労に向けてサポートしていきたいと思います。そのためには「障がいがあるから、ここまでしかできない」のではなく、一般就労に向け必要なことは利用者に要求していかなければいけないと思っています。これまでの「障がいがあるから」「これができないからフォローする」という一歩引いた支援ではなく、一人の社会人として、彼らがこれから何十年、支援する人がいなくなっても自立できるような支援をしていかないといけないと考えています。
そして、シグマファームとういんが何十年先もしっかり障がい者を雇用し続けられる会社でありたいと思います。しっかりマネジメントしなければ、利用者にも迷惑をかけてしまいます。
町長:農業だけではなかなか、採算が合わないと思います。加工できるものがあれば加工して、販売までできれば、より利益がでてくるのではないでしょうか。今後は、販路拡大が必要になります。
○将来の目標は?
小野寺:10年間ここまでやれてこられたのは、東員町の協力があったからだと思います。弊社の会長には「まず地域貢献。地域に恩返ししなさい」と常日頃言われていますので、そのためには何をしていかなければいけないか考えています。ここにいけば安心して働けるという福祉事業所。そんな場所にしていきたいと思います。農業はこれからも必要な産業なので、もう少し若い人たちにも参加してほしいと思っています。
大西:農・福連携でやってきたということは外さず、これからも続けていきたいです。利用者が頑張って働いていることを特に地域の方にもっと知っていただきたいです。「シグマファームとういん」という名前は、だいぶ浸透していると思いますが、実際どういう人がどんな風に働いているかを知らない人が多いと思います。それを自然と見てもらえるような場所にしていきたいと思います。利用者が生き生きと働く姿を見て、障がい者への偏見をなくしていきたいと思います。
また、農業の課題として、担い手不足や耕作放棄地が増えていますので、障がい者を含め活躍できる人がたくさんいることも知ってほしいです。
■シグマファームとういん
野菜や果物、花の栽培を通じて、障がいがある皆さんに社会へはばたくきっかけを掴んでもらうことを目的とした就労継続支援A型事業所です。自分たちで育てた作物を市場に出荷して、たくさんの人たちを笑顔にする。そんな夢のある仕事をしています。
○就労継続支援A型事業所シグマファームとういん
事業所所在地:東員町長深3957-2
農場所在地:東員町長深3193
連絡先:【電話】87-5356
○就労継続支援A型事業所とは…
障がいのある人と雇用契約を結び、事業所内で働く機会を提供することで、一般企業などに就職するために必要な知識と能力を身につけるための訓練を行う事業所です。
○シグマファームとういんの歩み
2015年4月:設立。長深にある耕作放棄地で事業を始める。
2019年1月:GLOBALG.A.P(グローバルギャップ)認証取得
2020年4月:ブドウ栽培開始
2023年12月:新事務所オープン
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