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【特集】農業×DX「食の未来を考えよう」(2)

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三重県桑名市

■カメムシ防除
▼ドローンにより効率的な薬剤散布が可能に
農地では、深刻な被害をもたらすカメムシを駆除するため、定期的に薬剤をまく必要があります。米、麦、大豆を生産する株式会社カゴヤでは、これまで乗用作業車で作業を行っていましたが、せっかく育てた稲を踏まなければならないことに精神的なストレスがあったそうです。そこで、ドローンを導入しました。
1回のフライトで1haの田畑に薬剤を散布することができ、作業時間は3分の1以下に短縮できます。完全自動飛行のため、測量データがあれば誰でも操作できることも特長の一つです。また、低空飛行により薬剤を稲の根本まで行き届かせることができるため、薬剤のムダも発生しません。郡さんは「最新テクノロジーの導入にはいろいろな制約はあるものの、積極的に取り入れて、より効率的に、より高品質のお米の生産をめざしたい」と意気込みます。

○お話を聞いたのは
株式会社カゴヤ
郡 祐樹(こおり ゆうき)さん

■田植え
▼経験が浅くても真っ直ぐに田植えができる
春になると小さな苗が田んぼに整列している様子を見かけますが、実は苗を真っ直ぐに植えるのは至難の技なのだそうです。「ぬかるみに田植機のハンドルを取られるので、機械の操作は長年の経験による腕が必要で、作業者は疲労もたまります」と伊藤さん。少しでも省力化しようと、自動操舵機による田植えを始めています。
自動操舵機はGPSを活用して圃(ほ)場に基準線を設定し、その線に平行になるよう自動的に運行します。線の端までくると自動で停まるため、作業者は旋回(せんかい)操作をするだけでOKです。田植作業自体にかかる時間はそれほど変わりませんが、従業員の疲労軽減に加え、経験が浅い人でも田植作業ができるため、苗のムダがなく稲の生育もそろうようになります。伊藤さんは「展示会などで新しい農業機器などの情報を仕入れています。テクノロジーを取り入れて、若い農業従事者を増やしていきたい」と話してくれました。

○お話を聞いたのは
長島町で農業を営む
伊藤 豊大(とよひろ)さん

■給水
▼水田の水位を設定値に保つセンサーによる自動給水
稲の生育時期は、水田の水位が一定の高さを保てるよう給水や止水作業が必要になります。スタッフは水道のバルブの開け閉めのため、点在しているいくつかの圃(ほ)場を週2、3回訪れなければならず、それだけでも多くの時間がかかります。伊藤さんが試験導入した自動給水装置は、設定した3センチ以下の水位になるとセンサーにより自動的に給水をスタート。スマホで確認・操作することもできます。水位が5センチになると、自動的に給水をストップしてくれるので、現地へ行く手間が省け、週に1度、生育状況の見回りだけで済みます。初期コストの問題から一部の圃場にしか導入できていませんが、作業負担がかなり軽減され、その時間は他の作業に当てることができています。

○お話を聞いたのは
長島町で農業を営む
伊藤 豊大(とよひろ)さん

■労務管理
▼作業状況を「見える化」し作業効率化を図る
主に「あまりこ」というブランドの高糖度ミニトマトを3つのハウスで栽培している岡村農園では、数万本にもおよぶ、生長の早いミニトマトをどうしたらうまく管理できるのか試行錯誤していました。作業管理が遅れてしまうと、ミニトマトの品質が下がってしまいます。2年前に導入した労務管理システム「アグリボード」は、スタッフがその日に行う作業をスマホで入力することができ、ハウス内における列ごとの作業状況、収穫量を瞬時に可視化することができます。集計内容は、スタッフ一人一人が全体の状況を確認できるため、遅れている箇所はスタッフ同士が相談し、率先して作業をしてくれています。またシフト管理、その日の伝達事項などは、全て即時反映されるスプレッドシートで行うことで、効率化が図れています。

○お話を聞いたのは
岡村農園
岡村 潤(じゅん)さん

■ハウス内コントロール
▼全てのハウス内環境をコンピューターで徹底制御トマト栽培ハウスでは、日射量や温度、湿度などを考慮して、トマトの木に最適な環境を与えてあげることが大事になります。そこで岡村農園ではハウス内の環境をモニタリング、コントロールするシステムを導入しています。パソコンのディスプレイには各ハウスの日射量、温度、湿度、外気温、CO2濃度、潅水(かんすい)量、雨量、風向、風速、循環扇、暖房、ミスト、窓、カーテンなどの開閉率などが表示され、各ハウスの環境を細かく設定することができます。ハウス不在時における設定変更などは、ハウスへ行かなくても、スマホなどでリモートできるため、時間と労力の削減が可能です。設定値の入力は、現在の木の状況を把握した上で、天気を予測し、1週間の生育データや、過去のデータを参照しつつ、岡村さんの感性を調合することがキモ。「トマトの気持ちになる」ことが大事だと話します。

○お話を聞いたのは
岡村農園
岡村 潤(じゅん)さん

問合せ:この記事については秘書広報課
(【電話】24-1492【FAX】24-1119)

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