桑名病院整形外科
安藤 謙一(けんいち)さん
今月のテーマ:膝関節半月板損傷を体験して(一整形外科医の告白)
今から11年前(65歳)に、ある病院の廊下を歩いていたとき何かに躓つまずいて、右膝がガクッとなりました。しかも、膝関節が30度屈曲し伸展が不能となり、歩行は爪先立ちで歩いていました。しかし、屈曲はいくらでも可能なので運転はしていました。いわゆるロッキング(嵌頓(かんとん))症状を呈していたことになり、また自ら診察すると内側関節裂隙(れつげき)に沿って圧痛があり、X線撮影もMRIも行っていませんが、内側半月板損傷(バケツ柄状断裂)と診断しました。そう言えば、その5、6年前に山歩きをしていた時に滑って右膝を強打したことがあり、それ以来右膝内側は時に疼痛(とうつう)があったように思います。ただ、疼痛は軽度なのでそのまま放置していました。今回は、屈曲していれば疼痛はほとんどないのですが、伸ばそうとすると強い痛みがあり、日常生活も困難になりました。
半月板損傷の治療としては、日常生活上問題なければ保存療法が行われますが、疼痛が強い場合は関節鏡による手術が行われます。断裂形態によって異なりますが、半月板縫合術や半月板部分切除術が行われます。私の場合は半月板部分切除術の適応であったと思われます。しかし、手術を受ける時間的余裕がなかったことと、もしかしたら断裂部分が完全に遊離するかも知れないと考え、そのまま放置していました。ロッキング症状が発現してから、2カ月後に突然ロッキング症状が消失しました。完全に遊離したのだと思い、これで治癒したのだと考えました。遊離した半月板はマクロファージなどに貪食(どんしょく)されて消えて行きますので問題ありません。
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