桑名市総合医療センター
乳腺外科
小西尚已(なおみ)さん
今月のテーマ:乳がん
乳がんの原因は、環境因子と遺伝的身体的要因に大別されます。環境因子とは、食生活やライフスタイルに関係する事柄のことで、主な環境因子として、飲酒(リスク比1.5倍)、喫煙(1.2倍)、肥満(BMI29以上でリスク比2.1倍)、運動(0.9倍)などがあげられます。
乳がんの予防のためには飲酒を控え、禁煙、適度な運動と肥満の予防が重要です。サプリメントで乳がん発症を予防できると認められているものはなく、逆にがんを発生させるものや治療薬との相互作用をきたすものもあるので、使用するときは担当医に相談してください。
経口避妊薬や閉経後ホルモン補充療法も乳がんの発症を増加させるため、使用方法や使用期間について担当医とよく相談するとよいでしょう。
遺伝的身体的要因には、乳がんの家族歴の有無、高身長や出産歴、授乳歴、そして遺伝性乳癌卵巣癌症候群などの遺伝子病などがあり、母親や姉妹に乳がんの人がいる場合は、リスク比は約2倍です。
乳がんの予防や治療に、免疫療法(民間療法)、高濃度ビタミンC療法、補完代替医療(通常の医療に代わる療法、すなわち中国伝統療法、瞑想、ハーブなどのサプリメントや薬物、気功など)が無効であることは、乳がん診療ガイドラインなどにも明記されています。乳がん発症予防を謳った民間療法には十分注意してください。乳がんは早期発見すれば、90%以上治癒する病気です。ご自身のリスク因子について日ごろから気を配りつつ、定期検診を受けましょう。
問合せ:総合医療センター
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