■ごみ出しが困難な方、戸別収集をご利用ください
津市長 前葉 泰幸
□ごみ収集有料化の動き
近年、家庭から排出される一般廃棄物の減量と資源化を図るため、ごみ処理を有料化する自治体が増加する中、津市は自主財源で賄うべき基礎的な行政サービスの一つとして、家庭ごみの無料収集を続けています。
□社会の変化に対応したごみ収集体制
自治体によって対応が分かれる大型のごみについても、津市は1メートル程度に分解するなど所定の方法でごみ一時集積所に出していただければ無料で回収しています。しかしながら、高齢や身体的なご事情により、ご自身で大きな家具を壊して分別することも、部屋から運び出すことも難しいというお声が次第に目立つようになってきました。
少子高齢化、核家族化の進行がその背景にあるだけに、早急に対策を講じなければ、今後、住まいから不要となったものを排出することがかなわず不便な暮らしを強いられるケースが多発する懸念があります。そこで、課題解決に向け、全ての市民を対象とした大型ごみ回収の有料化も選択肢の一つとするなど、制度改正も視野に議論を重ね、最終的に、無料収集を維持したまま、大型の家具などを分解し運ぶことが困難な方に重点的な福祉的支援を実施することにより、ごみ収集体制の充実を図ることになりました。
□大型家具などのごみ出し支援
平成30年4月、要介護認定者と障がい者のみの世帯からのご依頼に応じ、市職員がご自宅まで大型家具等のごみ収集に伺う制度を創設しました。同年秋に要支援認定者も対象に加え、翌令和元年7月には75歳以上の高齢者のみの世帯にも対象を広げたところ、5年間で、2,253件の依頼がありました。回収した5,582点のうち、利用可能な家具などは環境学習センターに展示し、ご希望の方が引き取るかたちで再利用を図っています。
□市職員が訪問することの安心感
ご自宅まで収集に伺うのは、環境事業課の専門職員たちです。家具の大きさから搬出方法と経路を慎重に見極め、安全に作業することに専心注力し、事故のないように緊張する中にも、依頼者との心の触れ合いから励ましをいただいております。
嫁入り道具の大きな2つのタンスの回収を申し込まれた高齢の女性は、職員が2つ目を運びだそうとした際に「ごめんなさい。やっぱりそのままにしておいてください」と、嫁入りダンスを一つは残しておきたくなったことを説明され、職員は「それじゃあ一つだけ、大切なタンスをいただいていきます」と、ご自宅を後にしました。後日、女性から「ごみに出した古いタンスなのに『大切なタンスをいただいていく』と言って丁寧に運んでくれて、とても温かい対応だった」と、お礼の電話を頂戴しました。
ある自治会長さんは、足腰が弱られても一人でお住まいの高齢の女性宅の生活スペースが、使わない洋服ダンスや机で手狭になっていることを気にかけ、この制度の利用を提案されました。収集にも立ち合われ、訪問した職員が作業の流れを丁寧に説明して不安を取り除き、迅速に搬出した後、広々とした部屋を見た女性の表情がパッと明るくなったことに安堵(あんど)しておられました。
□一時集積所まで運ぶことが困難な場合
要介護認定を受けている方や障がい者の方から寄せられるお声は日常のごみ出しにも及んでいます。特に、ホームヘルパーの支援を受けている要介護3以上の方々や肢体不自由1,2級、視覚障害1,2級の方にとって、ごみをご自身で集積場まで運ぶことは非常に困難です。日々のごみ出しの援助が必要であるにもかかわらず、家族が遠方に住まわれ、ヘルパーもごみ出しの時間に訪問できないとなると、ごみ出しの手立てがなく、ご自宅での生活に支障をきたしてしまいます。
□日常ごみのごみ出し支援を始めます
津市は日々のごみ出しが困難な方への新たな支援策として、戸別収集をご希望になる方のご自宅に市職員が訪問してごみを回収するサービスを始めます。ご自宅の敷地内に設置された蓋(ふた)付きの容器から、燃やせるごみを週1回、それ以外のごみを月1回、収集します。まずは、2人の職員が1台の清掃作業車で4つのエリアを毎週回っていくこととします。来年4月からの開始に向け、先月末より、サービス利用申請の受付を始めました。
□全ての市民が暮らしやすいまちに
社会情勢の変化を受け人々の生活スタイルも驚くほどのスピードで変容しています。このたび新しく始める日常ごみの支援制度についても、ご利用になる方のお声と担当職員の意見をもとに改善を加え、真にお役に立ち暮らしの安心につながる施策となるよう図ってまいります。
テレビ版市長コラムでは、前葉市長がこのテーマについて語ります
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