文字サイズ
自治体の皆さまへ

シリーズ人権 第107回

27/33

三重県津市

■娘の思い、私の思い~娘の幸せを願いながら~
私の家族は、妻と高校1年生の娘の3人です。最近では、自己主張が強くなってきた娘との関わり方に悩んでいます。
娘は幼少期からバレエを習っていて、今でも放課後と休日にバレエのレッスンに通っています。そんな娘を見ていて、好きなことに打ち込み、継続して努力していることは応援したいという思いと、将来のために勉学を頑張ってほしいという思いの間で、どちらが娘のためになるのか常に気持ちは揺れ動いています。
娘が中学3年生の時、夏休み期間中にバレエの海外短期留学をする機会を得ました。これまでにも海外留学の誘いを何度か頂いており、娘はその度に行きたいと言っていましたが、留学先が政情不安定な地域だったことや、まだ幼かったことなど色々と理由をつけて、留学はさせていませんでした。
しかし、海外生活は、語学力向上や人生経験を豊かにするなどのメリットもありますし、何より娘がバレエを頑張ってきた結果として得た機会なので、思い切って送り出すことにしました。
娘にとって海外留学の体験は、とても得難いものになったようで、帰国後、「1年間の長期留学をしたい」と言い出しました。
当時の私は、娘の学歴のことを心配し、「とりあえず高校へ進学しなさい。高校に通いながら、海外留学の機会があればその時に相談に乗る」と話を打ち切ってしまいました。
しかし、当時の判断は本当に娘のためだったのだろうかとずっと悩んできました。バレエに限らず、身体能力を生かすアスリートの選手生命は有限ですし、負傷することもあるので、次の機会が訪れないかもしれません。学歴についてもその気になれば、本人の努力次第で何とかなったのではないかと思います。あの時、自分の考えを一方的に伝えるのではなく、娘の思いと向き合って、しっかり話し合うべきだったのかもしれません。
そこで二人きりの時に、当時のことや私の普段の言動について、娘に聞いてみました。娘からは「留学の件は特に気にしていないけど、いつも一方的に反対するし、厳しい。すぐ怒るから、お父さんにはお願い事がしづらい」などと言葉を選びながら言われました。
私の父は厳しい人で、私の父親像の原点になっているので、無意識のうちに娘に対し、威圧的な態度をとっていたのだと思います。それが、話し合いにくい雰囲気を作っていたのだと気付かされました。
娘の幸せを願っていますし、娘の意見をできるだけ尊重しているつもりでしたが、いつの間にか私の価値観や意見を押し付け、しっかり向き合っていなかったのかもしれません。
親として、娘にとっての最善とは何かを悩む日々ですが、娘と話してみて、自分も変わっていく必要があると感じました。そのために、娘と話す機会を増やして、意見に耳を傾けていきながら、本音で話し合えるような関係づくりをしたいと考えています。それが娘を一人の人として尊重することにつながるのだと思います。
(40代、男性)

問い合わせ:人権課
【電話】229-3165【FAX】229-3366

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU