市長:先生方が、個人の能力を引き出そう、伸ばそうとしてくれたんですね。そして藝大に見事合格なさって、どのような学生時代でしたか。
駒田:怒涛(どとう)のようでした。一人暮らしを始めて手一杯の中、月曜と水曜にレッスンがあり、曲の暗譜をしなきゃいけない。長唄という三味線音楽は1曲30分くらいあり、それを暗譜するのが一番きつかったです。家では常に長唄を流しながら生活し、聴きながら寝落ちする、聴きながら登校するという日々。一方で三味線以外に日本舞踊や琴、尺八、篠笛、笙(しょう)なども学ぶことができて、他では経験できないことを勉強させてもらいました。
市長:大学卒業後はプロになり、今は指導者にもなられていますね。
駒田:稽古場は東京、三重、京都の3カ所です。それぞれ月1回、7歳から70代の方まで幅広く習いに来ていただいています。趣味としてやりたい、大会で優勝したい、プロになりたいなど目的はさまざまで、アニメがきっかけで和楽器に触れてみたいと小さい子が習いに来たりもします。それぞれがやりたいことをできるよう、目的に応じた指導をして稽古場の雰囲気を楽しくするようにしています。
市長:SNSも活用なさって、Instagramのフォロワー数は68万人!さらに投稿動画の中には1カ月で再生回数1千万回を超えたものもあるんですね。一体何がバズったのですか。
駒田:三味線でギターのリフをカバーして弾いてみた動画を投稿したら、海外の方から「和製のギターだ!」「3本の弦でこれだけ表現できるのか!」と驚かれて。レッドホットチリペッパーズという世界的に有名なロックバンドのベースの方ご本人から、「これぞロックだ」というコメントをいただいたことがきっかけで、アメリカのフォロワーが急激に増えました。
市長:海外の方に向けてオンラインレッスンもなさっているそうですね。
駒田:昨年7月から、通訳付きで教えています。日本から楽器を取り寄せ独学でやっていたなど熱意のある方々から多数の応募をいただき、アメリカやドイツ、ジャカルタなど各国から参加するため時差も考慮して3人ずつグループ分けして指導したところ、好評でした。今年も続ける予定です。
市長:一方で、昨年10月には津まつりに出演、11月には一身田町の高田会館でコンサートもされました。いかがですか、ふるさとでの演奏は。
駒田:三味線を始めた7歳の頃から頼まれて高齢者施設での慰問活動を始めたところ、クチコミで広がり多くの施設で演奏させていただきました。その当時からお世話になっている地元の皆さんが公演を見に来てくださり、「大きくなったね~」と。今回のコンサートは、皆さんのおかげで藝大で勉強して、また地元に貢献したいと思って帰ってきましたと、私から感謝を伝える機会になったと思います。
市長:今後の音楽活動は。
駒田:民謡を今のポップスに取り入れてアレンジすることに取り組んでいて、オリジナル曲をどんどん作っているところです。昨年9月と10月に1stシングルと1stアルバムを出させていただいたのですが、2025年も、民謡を次世代に残していくため歌い継いでいきたいです。
市長:演奏会という接点の他にも、SNSを通して、三味線や民謡ってこんなふうにも楽しめるんだということを発信しているのは素敵だと思います。これからの目標はありますか。
駒田:三味線を通じて地元に貢献したい、私がこの道に進む後押しをしてくださった地元の方々に恩返ししたいという気持ちがあって、例えば伊勢木綿のような伝統産業とタッグを組んで何かできないかとか、私なりに日本の伝統文化を残し海外に発信していく役割を担っていけたらと思っています。
市長:邦楽や着物といった日本の文化、そしてふるさと津を大切にしていただきながらのご活躍、大いなるご発展をご期待申し上げます。
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