■健全財政の下で進める大型事業
津市長 前葉 泰幸
□まちを一つにする大事業は特別な地方債で
平成の大合併により誕生した新・津市の合併構成市町村数は10と、全国で6番目の多さです。
財政力に差のある旧市町村の一体性を高め、均衡ある発展を遂げるために、新たなまちづくりの財源として借り入れが認められた地方債が合併特例事業債です。構成市町村数や人口増加の割合に応じて発行可能額が大きくなることから、津市の限度額は710億円と全国有数の規模となりました。
津市産業・スポーツセンター、久居アルスプラザや一般廃棄物最終処分場の建設、23の小中学校校舎の増築や大改修など、合併時に取り決めた大規模事業全てを完成させるには巨額の投資が必要でしたが、合併特例事業債という元利償還金の7割を国が負担する有利な借金を最大限に活用して津市の自己負担割合を低く抑え、計画的な償還を実行することにより健全財政を保っています。
実際、津市の実質公債費比率(借入金の返済額の大きさを財政規模に対する割合で表したもの)は、令和5年度時点で5.2%と、合併直後の平成18年度15.9%から大幅に改善され、全国の県庁所在46都市中11位となっています。
□大型事業の推進に欠かせない国の補助金
同時に、市民生活の向上と地域経済への効果が大きいインフラ整備の事業化に向けた補助金の確保にも努めてきました。
大谷踏切の拡幅(34億円)、津興橋の架け替え(49億円)、半田川田(48億円)と藤方第二(57億円)の雨水管整備などは、津市のような財政規模の都市が自ら実施するには財源の確保に大きな困難を伴う大事業です。
どの事業にも公平に薄く広く充当される交付金では津市への配分総額に限りがあり、他に抱える事業の予算を削らざるを得ない場合もあることから、国に対し、このような複数年にわたって多額の費用がかかる大事業には、交付金に代わる補助金の仕組みを創設し、別枠で予算を配分するよう、粘り強く要望を重ねました。その結果、国が制度の見直しを図ったタイミングで、津市はいち早く事業採択を受け、安定的な財源が保証されることとなりました。
平成元年に供用を開始した海浜公園内陸上競技場のリニューアル事業(25億円)は、該当する国の補助メニューがなく、財源の獲得に苦心していました。
令和5年1月、ポストコロナの新しい社会に向けたデジタル改革の機運の高まりの下、内閣府がデジタル田園都市国家構想交付金事業に「地方創生拠点整備タイプ」というカテゴリーを創設したことを受け、中心市街地に近接する既存の競技場がまちに活力を生み出す屋外スポーツの拠点となるべく、遠隔指導、試合分析、ライブ配信が可能なAIカメラを整備し、電子写真判定棟を新設した大規模大会や記録会が開催可能な第3種公認陸上競技場として再構築した計画を策定し提出したところ、地方創生に資する取り組みとして認められました。今年度から始まった交付金の総額は約10億円を見込み、令和10年度の供用開始を目指して実施設計に着手したところです。
□合併特例事業債終了後の財源確保
令和7年度に合併特例事業債の発行期限を迎えるにあたって、今後の貴重な財源として期待できるのはボートレースの収益金ですが、さらなる事業展開のためには、補助金・交付金や有利な地方債の積極的な活用により財源を安定的に確保することが求められます。
災害時の避難所となる体育館(久居、安濃、芸濃、一志)への空調機器の設置には、すでに「緊急防災・減災事業債」を活用しており、今後も、消防通信指令センターを鈴鹿市・亀山市と共同設置する事業などに充ててまいります。
令和7年度の事業への財源確保にも着手しました。折しも国が1,000億円から2,000億円へと予算倍増を決めた地方創生交付金には、かねてより構想を温めていた久居地域と津城周辺地区の子どもの遊び場・公園整備など多様なジャンルの事業を申請します。津駅西口ロータリーの再編整備には、都市・地域交通戦略推進事業への採択を目指しています。
今後も、市民の皆さまのご期待に応える事業を着実に推進しつつ、堅実な財政運営に努めてまいります。
ケーブルテレビ123chと津市ホームページでは、前葉市長がこのテーマについて語ります
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