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(広報津折り込み紙)津市人権教育広報 あけぼの(3)シリーズ 人・ひと

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三重県津市

初期日本語教室「きずな」は、日本語が全く分からない外国につながる子どもたちが日本語を学ぶ教室です。平成24年の開設からこれまでに440人以上の子どもたちが卒室しています。どのような人との関わりが、子どもたちの「学びたい」という思いにつながっていくのか、開設当時から「きずな」に関わり、初代教室長を務めた浦田順子さんにお話を伺いました。

■子どもたちは、「きずな」でどのように学んでいるのですか?
「きずな」は、日本に来たばかりの子どもたちの力になりたいと参加してくださる市民ボランティアに支えられています。「きずな」に来る子どもたちは、このボランティアの皆さんと、一対一で勉強をしています。その人たちの笑顔や一生懸命な姿に触れる中で、子どもたちには、大人に守られているという安心や信頼が築かれていきます。子どもたちはそんな大人と学ぶことで、日本語を覚えていきます。

■印象に残っている子はいますか?
「きずな」を始めて2年目、日本語の勉強に取り組もうとしない子がいました。その子との信頼関係を築こうと関わりましたがうまくいかず、私の気持ちは伝わらないのだろうかと悩んでいました。ある日、家庭の事情で国に帰ることになったその子が、「大丈夫、また来る」と私に言いました。その言葉を聞いた時、私の気持ちは伝わっていたんだと感じました。
入室した当初、日本語の勉強を嫌がる子はたくさんいますが、それには必ず理由があります。私たちも苦労しますが、その子自身が一番苦しんでいるのではないでしょうか。なぜなら、「きずな」に来る子どもたちは家庭の事情により日本に来ています。自分の国を恋しく思っている子や、長い間離れて暮らしていたため、家族との仲がしっくりいっていない子もいます。
だからこそ、子どもたちが抱えている思いを知ろうとすることが必要です。その子の言語を理解できるわけではありませんが、自分ができるやり方で、「あなたのことを知りたい」という気持ちを伝えていくことを私は大切にしてきました。

■長年「きずな」の指導を続けてこられたのはどうしてですか?
「きずな」で子どもたちと関わることが本当に楽しかったからです。その子が変わっていく姿、成長していく姿に出会うことや、日本語を話し出す瞬間に出会えることに喜びを感じてきました。
もう一つの理由は、子どもたちの顔が安心した表情に変わっていくことです。子どもたちは「ここに来たい」「『きずな』が楽しい」という気持ちを、言葉ではなく表情で伝えてくれます。そういう表情を見ることが私にとって一番の喜びでした。
また、子どもたちからたくさんの喜びをもらう中で、自分が謙虚になったと感じます。子どもたちが日本語を「学びたい」と思えるかどうかは私次第だと気付きました。子どもたちが見せてくれる姿は、私のその子への関わりがどうだったのかを教えてくれていると思います。

●取材者の感想
浦田さんの「あなたと学ぶことが楽しい」「あなたが話してくれることが嬉しい」という思いが、安心や信頼となり、子どもたちの「学びたい」という気持ちにつながっています。学びたいという思いは、学ぶ機会を作ることだけではなく、「この人と学びたい」「この場で学びたい」と思える人とのつながりの中で生まれると感じます。誰もが「学びたい」をかなえられる社会を実現するために、私もそんな人になりたいと思います。

第38号
令和7年2月16日発行

問合せ:教委人権教育課
【電話】229-3253【FAX】229-3017

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