家庭内事故とは『家庭内で発生する不慮の事故』で、浴槽での溺水(できすい)、床や階段での転倒、食べ物や異物の誤嚥(ごえん)、火傷、ガス中毒などのことを意味します。
なお、家庭内事故による死亡者の内、「不慮の溺死及び溺水」による死亡者が最も多く、これには浴室内外の気温差が引き起こす「ヒートショック」によって溺死などに至るケースが含まれます。今回は、「ヒートショック」についてお知らせします。
■冬のヒートショックに注意
ヒートショックという言葉を聞いたことはありますか?
ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋に移動した際などに血圧が大きく変動することで、心臓に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞などを起こす状態のことをいいます。気温が低い12月から1月が全国的に発生のピークとなっており、熊野市消防本部管内では、令和3年度から5年度までの3年間で34人の人がヒートショックの疑いで救急搬送されており、その内85%が高齢者でした。
ヒートショックは浴室で起こることが多く、暖かい部屋から室温の低い脱衣所や浴室へ移動し、暖かい浴槽に入ることで、血圧の変動が大きくなるため、発生しやすくなります。
■入浴中事故の予防のために次のことに気をつけてください。
(1)入浴の前に脱衣所や浴室を暖めておく
(2)浴槽の湯温は41度以下とし、お湯につかる時間は10分までを目安にする
(3)入浴後、浴槽から急に立ち上がらない
(4)食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける
(5)お風呂に入る前に、同居する家族にひと声かける
(6)家族は入浴中の家族の動向に注意する
熊野市消防本部では、地域の皆さんの末永い健康的な生活維持を目的とした、予防救急講習会を開催しています。
■熊野市消防本部救急救命士 加藤拓馬
熊野市消防本部管内で、ヒートショックの疑いによって救急搬送された高齢者のうち、約半数が重症(3週間以上入院が必要となったもの)や心肺停止状態でした。長く健康に過ごすためには、日ごろの予防が大切になりますので、上記のことに気をつけて生活しましょう。
また、家族が心肺停止状態になっていた時は、素早く119番通報・心肺蘇生法を行うことに加えてAED(自動体外式除細動器)を使用することが大切です。AEDについては、学校などの公共施設に設置しているほか、熊野市内すべてのコンビニ(6店舗)に協力していただき、市所有のAEDを設置しています。市内のAED設置場所については、熊野市HPに掲載していますので、もしものために、自宅近くのAEDがどこにあるのか確認をしておきましょう。
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