ペンリレー No.212

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■日々の暮らし、幸せを感じて
奥　志歩さん(鵜殿)

食べることは生きること、作ることは楽しむこと。台所仕事は私の趣味で生きがいです。
日々の料理やイベント料理、お菓子、パン作り。ひとりで作るのも楽しいものですが、子どもたちが一緒に作りたいと言ってくれると、何倍も楽しくなります。
今年の冬には味噌づくりに初挑戦し、とてもおいしくできました。6月は、青梅と完熟梅のシロップや梅酒、梅干し、梅漬け作りといった梅仕事を楽しみました。
料理上手な祖母の影響で、夕方母の帰りを待ってご飯を作ってもらうのではなく、自分で作ってみようと思い料理を始めた小学校高学年の記憶、多感な時期に経験した摂食障害、たくさんのできごとがあって今の私がいます。
中学2年生のころ、学校に行くことが怖くなり、ご飯を食べることも怖くなって48kgあった体重は、24kgまで落ちました。その反動で数か月後には過食がはじまり、元の体重よりも増えました。
家族や福祉の方に相談に乗ってもらい、学校の問題は解決しましたが、摂食障害は簡単に治りませんでした。福祉の方に「何かをするとき、自分のよい加減でいい」という言葉をかけてもらい、その言葉で心が軽くなり、今でも大切にしています。また、不登校や摂食障害を患った当事者の気持ちを伝えてみないかという話をいただき、何度か講演をさせていただいたことは、とても貴重な経験です。
摂食障害から立ち直り、“心と身体にやさしい満足した食事”を考えるようになってから、台所仕事が一段と好きになりました。つわりや体調不良のときでも、台所に立つと気持ちが楽になるくらいです。また、調理師免許を取得したことが自信につながりました。
辛かった経験があるからこそ、好きなものや好きなこと、自分の気持ちを大切にしたい、私らしく生きていきたいと思っています。
「今ある幸せを感じよう」と、夫がよく言ってくれる言葉を大事にしています。夫と2人の息子との暮らしを愛し、日々のほんの小さなことにも幸せを感じながら、今日も台所に立っています。

◇PROFILE
おく　しほさん
過去の経験から自分の気持ちを大切にしようという気持ちが強くなった奥さん。「自分の好きなことを好きなだけ挑戦していきたい」と話していました。

◎11月号は井田の上地(かみじ)桂花(けいか)さんです。奥さんからは「いつもありがとうございます。またお話しましょう♪」