■記憶と今
山本美里さん(成川)
私は御浜町で生まれ、高校卒業まで暮らしていました。高校時代にお菓子作りに目覚め、大阪の短大へと進学し、製菓作りを学びました。
大阪での生活はよき友人に恵まれ、充実した学生生活を送ることができ、大阪名物の食べ歩きなども堪能しました。短大卒業後も大阪に残りたかったのですが、大阪では思うような就職先に出会えず、東京で就職することになりました。
今でも忘れられないのが、東京に引っ越す日の前日に東日本大震災が起きたことです。アパートの引き渡し日を変更することができず、詳しい状況もわからないまま、東京に出発しました。インターネットや友人からの情報を頼りに向かい、東京に着いたのが夜中だったので、急遽ホテルに泊まることになりました。その夜も余震が続いていて、なかなか眠れず、テレビでは東北の状況が放送されていて、改めて地震の怖さが身に染みました。
東京での生活は、慌ただしく過ごす毎日でしたが、息子を授かり、子育ての大変さを実感する毎日でもありました。事情があり、母が住む紀宝町に息子と引っ越してきましたが、学生時代の友人と再会したり、子育てのサポートが受けることができたり、住みやすい場所だなと思っています。こちらに来てから、息子がアレルギー体質であることがわかり、現在は食べ物にも注意を払いながら過ごしています。
また、東日本大震災のことを忘れることがないよう、そして息子がいる今、近い将来起こると言われている、巨大地震に備えて、防災グッズを常備し、中身の見直しも行っています。
これからも、私たち家族を見守ってくださっている方々に感謝しながら、親子共々元気にのびのびと紀宝町で過ごしていければなと思っています。
◇PROFILE
やまもと みさとさん
東京から母の住む紀宝町に移住した山本さん。「東日本大震災の記憶を忘れることなく、有事に備えて防災グッズなどを準備しています」と話していました。
◎2月号は鵜殿の宮原(みやはら)方累(みちる)さんです。山本さんからは、「ペンリレーを引き受けてくださり、ありがとうございました!」
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