■地域の方とともに
阪口時彦さん(桐原)
私は5年前、60才を迎え定年退職し関西から故郷である紀宝町に戻ってきました。
帰郷後、自然が豊かすぎて、夜は野生動物の鳴き声が響きわたるとともに、田んぼと畑で夜な夜な運動会が行われ、朝にはその痕跡が残っていることで、自然の豊かさに懐かしさを感じる半面、野生動物が増えていることが、とてもショックでした。
そのため、罠猟の狩猟免許を取得しようと考え、猟友会に相談し、熊野市で猟友会の主催する講習会に参加しました。参加者は約50名で同年代か年配の方が多く、講習内容は、覚えることが多かったですが解りやすい説明でした。国家試験は津市の大学で実施され、会場に入って驚いたのが受験生の約10%が女性だったことです。試験も無事に終了し、数か月後、合格通知が届き、晴れて狩猟免許を取得しました。
その後、狩猟経験がある方や地域の方たちに罠のかけ方や生息地などを教えていただきながら、特に有害駆除に力を入れて活動しており、ほんの少し地域の役に立てたのかなと思います。
次に、私が管理している林の中に旧紀宝町が発行した「文化財を訪ねて」に記載されている「鬼の担い石」があるのですが、木々が生い茂り、見えなくなっている状態でした。森林組合に相談し、間伐は、森林組合の仕事をしている知人の方にお願いし、枝打ちは自分で行うことにしました。枝打ちの仕方は知人に丁寧に教えてもらい、失敗しながらもなんとか樹木の間から鬼の担い石が見えるまでになりました。
作業を終え、一番大きな石のたもとに行き、昔ながらの湧き水で手を洗い、そっと担い石を触ると、伝説を思い出し、心が落ち着く自分がいました。何も知らない人にとってはただの大きな石ですが、伝説を知ることで見方が変わるかもしれません。
最後に、四季を通じてこの桐原の原風景が好きなので、地域のみなさんと、農作業などさまざまなことを教えてもらいつつ、のんびりと笑いながら世間話をして、これからもスローライフを楽しんでいければ幸いです。
◇PROFILE
さかぐち ときひこさん
故郷の桐原に戻りさまざまな活動をされている阪口さん。「地域のみなさんにはいろいろ教えていただき、大変お世話になっています」と話していました。
◎12月号は大里の川内(かわうち)美明(よしあき)さんです。阪口さんからは、「よろしくお願いします。」
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