■今月のテーマ
「静かに進行する〝慢性腎(じん)臓病〟」
◇腎臓の機能
腎臓は腰のあたりにあるそら豆のような形の臓器で、左右に一つずつあります。腎臓は毎日血液をろ過して体の中の不要な水分や老廃物を尿として体の外へ排出しているほか、血圧の調整、ミネラルバランスの維持、赤血球を作るホルモンの分泌など多くの役割を担っています。
◇成人の8人に1人が慢性腎臓病と推計
慢性腎臓病は、こうした腎臓の機能が徐々に低下する病気です。初期の段階では自覚症状がほとんど現れませんが、次第に腎臓の機能が低下し、最終的には腎臓が機能しなくなり、人工透析や腎移植が必要となるリスクが高まります。また、心臓病や脳卒中を発症する原因となります。
日本には1,000万人を超える慢性腎臓病の人がいると推計されており、原因として加齢のほか、糖尿病、高血圧、肥満などといった生活習慣病、喫煙などが挙げられます。
◇早期発見のために年1回は検査を
腎機能の働きが悪くなるスピードは、減塩、禁煙や適度な運動といった生活習慣の見直しや腎臓病の原因治療で、ゆるやかにすることができますが、すでに失われた腎臓の機能を取り戻す治療は、現時点ではありません。
早期発見のためにも年一回は職場健診や特定健康診査などを受診し、定期的に尿や血液の検査を受けることが大切です。特に上表の症状がある場合は、早めに病院で検査を受けることをおすすめします。
表.腎臓病が疑われる症状
・尿検査で尿たんぱくが出ている
・夜間に何度もトイレに行く
・顔色が悪いと言われる
・ひどいむくみがある
・貧血や立ちくらみがよく起こる
・疲れやすく、常に体がだるい
・息切れしやすい
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