■現代の子どもたちに合わせて変化する 部活動の新しいカタチ
◇学校現場が直面する課題
少子高齢社会に直面する日本。その中で、教育の現場もさまざまな課題に直面しています。読解力をはじめとする学力低下や昭和60年頃から体力が長期的に低下傾向にあるなど教育等に関わる課題は複雑化・多様化し、学校や教員だけでは解決することができない課題が増えています。特に各中学校で行われている部活動も例外ではなく、多様化する生徒のニーズや競技の専門性などの観点から従前と同様の運営体制では部活動の維持が難しくなり、学校や地域によっては存続できない部活動が発生するといった状況に陥っています。
そのような状況を打破するために、文部科学省は中学校の部活動を維持する目的で部活動の地域移行を推し進めています。地域で活躍されているスポーツや文化に精通された方が講師となって部活動指導を行う。菰野、八風中学校両校で現在進められている部活動の地域移行について今月号ではお伝えします。
《各中学校部活動部員数》(令和5年4月現在)
◇受け皿となるのは元気アップ
地域移行を進めていく上で最も大切になってくるのは各部活動の地域指導者の確保です。中学校の部活動ではさまざまな種目のスポーツが取り入れられているため、それぞれの種目を専門的、かつ、生徒に寄り添って指導できる指導者の存在が不可欠になってきます。そのため、菰野町では総合型地域スポーツクラブの元気アップこものスポーツクラブが事務局となり、中学校の各部活動との連携を図っています。現在、元気アップこものスポーツクラブに所属する会員を各部活動に指導者として派遣するようなかたちで地域移行が進められています。
◇NPO法人 元気アップこものスポーツクラブ
スポーツの振興と健康で安全な明るいまちづくりの実現に向けて、日常生活の中で自発的にスポーツを楽しむ場を提供するために平成18年4月に発足しました。子ども、成人、高齢者、全ての年齢層を対象に講座やイベントを開講しており、現在、約950人の会員がさまざまなスポーツに取り組んでいます。
所在地:菰野町B&G海洋センター
菰野町大字菰野4775-1
【電話・FAX】394-5018
◇指導員を対象として 定期的に研修会も開催
指導者のレベルアップを図るため、元気アップこものスポーツクラブ主催で定期的に研修会を開催しています。スポーツハラスメントやアンガーマネジメントなど、子どもたちを指導する上で指導者が認識しておかなければならない事柄をテーマとして取り扱っています。
◇CASE 01 八風中学校 ソフトテニス部
・八風中学校 ソフトテニス部 地域指導者 諸岡克博(もろおかかつひろ)さん
〈コメント〉
教員を退職してから、これまでの経験を生かして部活動の地域指導者として携わっています。地域指導者としてであれば、競技に専念して指導することができ、教員と部活動で担当する内容を棲み分けることで生徒たちに、さらに充実した部活動を提供できているような気がします。
・八風中学校 ソフトテニス部 顧問 松島聖司(まつしましょうじ)さん
〈コメント〉
経験がないスポーツの顧問となることは教員の負担感に繋がることもありましたが、地域指導者と連携することで、教員にも部活動との関わり方に選択肢ができたように感じます。教員経験のある方や指導に慣れている方が来てくれるので安心して任せることができています。
・八風中学校2年 ソフトテニス部 キャプテン 河本颯介(かわもとそうすけ)さん
地域指導者の先生が初めて来たときは不安でしたが、指導を受けることで試合で点が取れるようになりました。練習メニューや競技のことは地域指導者に、部活動運営や人間関係などは顧問の先生に相談し、それぞれの先生の指導を受けています。
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