今日も町の西側にそびえる鈴鹿山脈を見て、ふと想う。
「なぜこの山を眺めると安心するのだろう」
山の麓で暮らす菰野町民の多くが感じるこの想い。
その根源に迫る―特集「山に魅せられて」
もっとこの山が好きになり、さらに山に魅了される。
■山を愛し、山とともに生きる
山の麓に集落を築き、歴史を重ねてきた菰野町。この山の木々で家を建て、山菜を採り、山から湧き出る水を飲み、これまでの生活を営んできました。令和の時代となった今でも、その根本は変わらず、この山の麓で人々は暮らし、生活を送っています。いつ見ても変わらない鈴鹿山脈のある風景は、町の景観においても欠かせない存在になっています。
人はなぜ山に魅了されるのか。山が身近に存在する菰野町の中でも、特に山に深く関わり、活動や生活を続ける皆さんの姿を追いました。
さまざまなかたちで山を愛し、山とともに生きる皆さんが、どういった想いで山に関わるのか―もしかすると、皆さんがこの山を眺めて抱く安心感にもどこかで繋がるかもしれません。
■美しい山で在り続けるために
菰野町は、町西部のほとんどを山林が占め、割合にすると町全域の5割を山林が占めていることになります。鈴鹿山脈の滋賀県側はゆるやかで女性的な姿をしているのに対し、三重県側は切り立った男性的な姿をしているといわれています。わずか5キロメートルの間に標高が
1000メートルも上昇している姿からアルプスを連想される方もいるほどです。菰野町の観光資源としてもこの山々は大切で、温泉地、御在所ロープウエイ、キャンプ場などを有し、多くの観光客が訪れています。特に、主峰の御在所岳をはじめ、藤原岳(ふじわらだけ)、竜ケ岳(りゅうがたけ)、釈迦ケ岳(しゃかがたけ)、雨乞岳(あまごいだけ)、鎌ケ岳(かまがたけ)、入道ケ岳(にゅうどうがたけ)の7つの山は「鈴鹿セブンマウンテン」と総称され、登山の名所として多くの登山者に親しまれています。
登山の名所として親しまれる一方で、この山々をきれいに保つことも大きな課題となっています。山の環境を守るため、鈴鹿スカイラインの武平峠周辺や三重県民の森周辺で町商工会青年部・女性部や三重県建設業協会四日市支部による美化活動が実施され、ペットボトルやビニール袋、不法投棄された車のパーツなどが山々の中で回収されています。
このような美化活動は毎年実施されているにも関わらず、依然として回収されるごみや不法投棄物は0ゼロにはなっていません。この美しい山々が観光資源として在り続けるために、多くの皆さんの協力によって山の環境が守られています。
〔column1 森林を生かすための財源〕
平成26年度から三重県が課税している「みえ森と緑の県民税」は、町内でも山の土砂や流木による被害を出さないことを目的にした危険な樹木の除去に活用されています。また、町内幼保園の木製遊具の整備などにも活用されています。令和6年度から課税を開始した森林環境税も森林整備やその促進のために活用されています。
〔column2 自然の中で新たなコミュケーションを〕
「AOU(アオウ)no(ノ)MORI(モリ)」は令和6年4月、尾高高原に拡張オープンした森林の中のプライベート空間でアウドアサウナが体験できる菰野町初の施設です。現代の働き方や価値観の変化を踏まえて共創の場を提供することを目的にしており、BBQやサウナ、テントでの宿泊を楽しむことで心身ともにリラックスした時間を友人や会社の皆さんと過ごすことができます。また、スタートアップ企業やベンチャー企業の新産業を創出するための社会実証の場としても利用が想定されています。
所在地:菰野町杉谷2302-1
※施設の利用予約や施設の詳細はHPやインスタグラムから問い合わせください。
(株)LEO(レオ)(AOU no MORI 運営)
共同創業者 取締役
天野貴文(あまのたかふみ)さん
中京、関西からもアクセスがよく、山と緑に囲まれた非日常感、プライベート感から杉谷のこの地を選びました。大自然の非日常空間で長時間入りやすいバレルサウナに入って語らうことで、心理的負担が軽減され、コミュニケーションが捗ると思います。今後は「AOU no MORI」を活用しての新ビジネス創出やサウナの実証実験場としてさらに展開していければと考えています。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>