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【特集】山に魅せられてー[Topics1]山を撮る

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三重県菰野町

山を眺めるだけではなく、撮影する。
息をのむような絶景を写真や動画として切り抜く。
その瞬間は見る人に感動を与え、鮮明に山の姿を伝えます。
鈴鹿山脈の姿を撮り続けたその根源の想いとは―

■40年間山々の姿を撮り続けた
鈴鹿山脈は、山々によって含んでいる岩質が異なり、特に八風峠から鎌ケ岳の南までは花こう岩が広く分布しています。この花こう岩によって形成された奇岩が多くの名所をつくり出し、山の絶景を生み出しています。そのような鈴鹿山脈でしか撮れない絶景の数々を収めてきた風景写真家が片出実さんです。
片出さんは、40歳から地元の山々を撮り始めました。「当初は5年くらいあれば、鈴鹿山脈の写真は全て撮れるだろうと思っていました。ですが、足元を見てみれば見落としていた小さな野草やこの瞬間でしか撮れない風景を収められていないことに気づいたんです。そこからは常に山で撮りたい写真のイメージを考えながら過ごす日々が続き、思考が全て山へ向かっていきましたね」と振り返ります。山々を登り、写真に収めたい一瞬を待ち、撮り続けた写真は数万枚にも及び、満足いく鈴鹿山脈の写真を全て撮り終えたのは片出さんの年齢が80歳を超え、40年もの年月がかかった頃でした。「山の写真というと多くの方は3000メートル級のスケールが大きい山を思い描くと思います。しかし、そのような山と違って鈴鹿山脈は、山頂でも緑があふれ、撮りたくなる草花もたくさんあります。小鳥や動物たちとの触れ合いにも心癒されます。そんなところもこの山の魅力ですね」と被写体として捉え続けた鈴鹿山脈への思い入れを語りました。

▽日本写真作家協会会員
風景写真家
片出(かたで)実(みのる)さん
大羽根園

自然の大切さ、美しさ、そして写真を撮る喜び、見てもらえる喜びを噛みしめながら景色を写してきました。納得した写真が撮れるまで朝でも夜でも何回も山に通い、粘り強く山々を写真に収めてきました。そのため一枚一枚、写真を撮ったシチュエーションは鮮明に覚え
ています。風景写真は自然が相手ではありますが、苦労して何度も通って努力していれば自然が応えてくれる気がします。

40年間の作品を収めた「心うるおす山便り 鈴鹿山脈の自然」(片出実/著)は、町図書館でご覧いただけます。

▽登山系YouTuber
Mt.G(マウントジー)(伊藤(いとう)博哉(ひろや))さん
菰野第三区

動画編集を始めた際、その編集素材として選んだものが登山でした。最初は登山者へのルート案内から始めましたが、温泉地や名所など観光資源が豊富なことから、最近では鈴鹿山脈の魅力全般をPRするようになりました。鈴鹿山脈は、日帰りで登りやすい山々でありながら、登山の優しさも厳しさも感じられる素晴らしいスポットです。山の歴史や背景を知ってから登れば、さらなる発見があると思うので今後は鈴鹿山脈の背景や登山のさらなる魅力が感じられる発信を続けていきたいと思います。

[Column3 登山の歴史をたどる図書館で企画展]
日程:12月22日(日)まで
9:30~18:00(休館日(月))
会場:菰野町図書館2階 郷土資料コーナー

「いざ御在所岳へ~文献にみる登山の歴史~」と題して、天野信景(あまのさだかげ)の随筆「塩尻(しおじり)」や菰野藩10代藩主の土方雄興(ひじかたかつおき)が書きつづった紀行文「おくやまふみ」の原文を展示した企画展を現在、町図書館で開催しています。詳しい解説や現代語訳などとともにわかりやすく展示しているため、過去の偉人たちが現代と同様に地蔵岩や蒼滝といった名所を楽しみ、秋には御在所岳の紅葉を眺めていたことなどがわかる展示となっています。

[Column4 ラドンを有効に活用]
町内の花こう岩を含む地質から湧出する温泉には、ラドンを多く含む放射能泉があります。放射能泉は、ラドンの微量の放射能が痛風や関節リウマチなどの炎症に効果があるとされています。また、菰野町で以前実施したラドン熱気浴の研究では皮膚血流量が上昇し、血行促進の可能性が示されました。そのため、菰野町の温泉や山間部を満喫することが健康増進に繋がると考え、これから町の地域活性化にラドンを生かせるよう調査を進めています。

三重県保健環境研究所
衛生研究室 衛生研究課
佐藤(さとう)大輝(だいき)さん

花こう岩には天然に存在する放射性物質のウランが含まれています。ウランが崩壊していく際、ラドンという放射性物質が発生します。
ラドンは無味無臭、無色の気体で地面から空気中に拡散します。空気中のラドンは検出キットを用いて活性炭に吸着させ、有機溶媒(ゆうきようばい)に抽出して測定します。現在菰野町と連携し、町内70か所で空気中のラドン濃度の調査を進めています。

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