16年ぶりの三重県大会優勝を果たし、甲子園に出場した菰野高校硬式野球部。悲願の甲子園初勝利を目指して戦ったその雄姿をお届けします。
■この夏に懸けた菰高野球部の軌跡
これまで春夏3回の甲子園出場を果たしている菰高野球部。しかし、甲子園での一勝は遠く、チャンスを逃してきました。悲願の初勝利に向け、この夏に懸けた球児たちの軌跡をたどります。
▽2年生中心のチームで挑む
平成17年、平成20年から永らく逃し続けていた菰野高校硬式野球部(以下、「菰野高校野球部」)の夏の甲子園出場。大会直前の6月、これまで野球部を率いてきた監督から新監督に交代し、誰もが逆境だと思う状況の中で、先発メンバーは全て2年生という菰野ナインは三重県大会で躍動します。エースを務める投手の栄田選手は、必要な場面場面で変化球を見事なコースに決め、県大会全5試合を投げ抜き、菰野高校野球部の勝利に貢献しました。どの打順からでも繋げていける強力な打線も多くのチャンスをつくり、チームは決勝へと駒を進めていきました。そして迎えた鈴鹿高校との県大会決勝戦。決勝戦とは思えない落ち着きで完封勝利を飾った栄田選手の活躍もあり、16年ぶりの県大会優勝を果たし、球児たちの夢である甲子園への切符を勝ち取りました。
・菰野高校硬式野球部 監督 森田亮太(もりたりょうた)さん
私も想定していなかったタイミングで監督となり、当初はプレッシャーもありましたが、このチームを守りたい気持ちと選手たちに支えられて甲子園出場を果たすことができました。春の東海地区大会での準優勝も夏の結果に繋がったように感じます。このチームをつくってきた3年生の存在も大きく、さまざまな部分で助けられました。選手たちには苦しい場面でも下を向かずに勝負を楽しむように声掛けし、選手を信頼して臨んできた結果が甲子園初勝利に繋がりました。
・菰野高校硬式野球部 主将 山口拓真(やまぐちたくま)さん(3年)
甲子園は遠い存在だと感じていましたが、県大会を勝ち上がっていくにつれて、その存在に近づいていることを実感してきました。今年のチームは団結力も強く、一体感も良かったので県大会の競り合いの中でも勝ち切れたんだと思います。球場の雰囲気に緊張することもありましたが、焦らず着実にプレーしていこうと声掛けしてこの結果をつかむことができました。今まで私たちを支えてくれた皆さんに感謝し、少しでも恩返しできたように感じます。
▽そして訪れる初勝利の瞬間
令和6年8月9日、阪神甲子園球場での山口県代表、南陽工業高校との一戦。この試合でも菰野ナインは2年生中心のチームとは思えない落ち着いた立ち上がりで1回から先制します。毎回、ランナーを出して得点圏に迫り、着実に追加点を奪い、六回には捕手を務める栗本選手が2連続で二盗を刺すなど好守も光りました。投げてはエースの栄田選手が9安打を浴びながらもスライダーなどの変化球で効果的に打ち取る好投をみせました。そして迎えた最後のバッター。栄田選手は見事に打ち取って、甲子園での悲願の初勝利をつかみました。その瞬間、バス23台分の応援団が詰めかけた3塁側のアルプススタンドでは大きな歓声があがり、栄誉を称えて甲子園で菰野高校の校歌が響き渡りました。
次に進んだ2回戦では福岡県代表の西日本短大付属高校に0-13で敗れ、菰野高校野球部のさらなる躍進は叶いませんでしたが、菰野の名を全国に轟とどろかせ、応援する私たちにもたくさんの感動を与えてくれました。夏の素晴らしい思い出をありがとう、菰野高校野球部!
・菰野高校硬式野球部 応援リーダー 阿部天斗(あべたかと)さん(3年)
プレーと応援が一体となって勝利に繋がると信じ、目の前の1戦1戦に臨んできました。野球部内でも声の大きさには自信があるので、時には太鼓、時にはメガホンを握りながらどのようなピンチの場面でも応援だけは負けないという心持ちをもって全力で甲子園のアルプス席から声援を送り続けました。私たち3年生を甲子園まで連れてきてくれた2年生の後輩たちに感謝し、応援で恩返しができたのではないかと思います。
・菰野高校硬式野球部 OB会長 樋口稜輔(ひぐちりょうすけ)さん
地域全体で応援したいと思い、甲子園での応援をOBに呼びかけたところ、100人以上が集まって盛大にアルプス席で応援しました。これまで菰野高校野球部は、甲子園での1勝を逃してきたので、この1勝は歴史に残る1勝であると感じています!今年のレギュラーメンバーは2年生主体のチームでしたが、支えてきた3年生あっての今回の結果でもあると思うので、3年生の皆さんにも労いの言葉を贈りたいです。
■菰野高校野球部 この夏の軌跡
※ベンチ入りメンバーリストは本紙P.5をご覧ください。
《三重県大会試合結果》
《甲子園1回戦 南陽工業高校戦》
《甲子園2回戦 西日本短大付属高校戦》
※写真は本紙P.4~5ページをご覧ください。
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