令和5年4月にこども家庭庁が発足し、こども基本法が施行されました。同じ年に、全ての子どもや若者が身体的・精神的・社会的に幸せな状態(ウェルビーイング)で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すための「こども大綱」が策定されました。
しかし、いじめや体罰、児童虐待、児童買春や児童ポルノなどの性被害など、子どもに対する人権侵害が後を絶ちません。
子どもが一人の人間として尊重されるためには、社会全体に対する啓発はもちろん、子どもたち自身にも、自分がいかに大切な存在であるかを理解してもらい、自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることの重要性を伝えていかなくてはなりません。
今回の特集は、幼少期から人権啓発に触れることの大切さを伝えます。
■アンケートから見る人権啓発の重要性
市が開催する人権啓発イベント参加者の声をまとめました。
・すべてが当たり前ではない。一つ一つを大切にというところがとてもよかったです。(小学生以下)
・人権は人の生まれながらの権利で、それをちゃんと気をつけないといけないことがよく分かりました。(小学生以下)
・人権についての問題は知っていましたが、取り組みなどは自発的に調べなければ知る機会が無かったので良い機会になりました。(高校生)
・無関心も差別かもしれないというポスターを見て、正しい知識を得て、自分にできることを考えようと思いました。(高校生)
・とても分かりやすく楽しい時間となり、子どもと人権について話し合うことができて良かったです。(40代)
・幼児がどのくらい理解しているのか見当もつかないが、子どもなりに「見た」記憶が残るだけでも意味のあるものだと思います。(60代)
■成長に応じてできることを学ぶ
小さいころから少しずつ人権教育を取り入れることが、将来的に人権感覚を身に付けることにつながります。成長の段階に応じて、できることを取り入れてみましょう。
◇幼児期
自然に触れる機会を持つことや、読み聞かせなどを通して、命の大切さを学び、他者だけでなく自分自身の大切さを伝えます。人権という意味が分からなくても、他者理解のきっかけをつくります。
◇小学生期
「仲間の思いを受け止め合う学習」や「障がい者・外国人の人権、部落問題学習など個別的な人権問題」を通して、さまざまな人と出会い、日常の自分の考え方や行動を振り返ります。
◇中学生期
差別をなくす活動をしている人たちとの出会い学習などで個別的な人権問題などをさらに深めながら、社会にある人権問題の不合理を見抜き、問題点を出し合い、差別をなくすための実践行動力を高めます。
■さまざまな立場の人との関わりを通して
市人権教育センターで年4回ほど行われる「キラキラこども村」では、市内在住の子どもたちや「共生交流ひろば」の利用者が、一緒に創作体験や集団遊びなどの活動を行い、主体性を育みながら、仲間とつながることの喜びを感じ「共生」を学んでいます。
◇共生交流ひろばって?
障がいの有無や国籍にかかわらず、いろいろな背景をもつ子どもたちが、遊びや創作活動を通して交流をしています。
■1人(ひとりで)悩(なや)まず相談(そうだん)を
「いじめられている」「インターネット上(じょう)のトラブルに巻(ま)き込(こ)まれた」など、学校(がっこう)や家族(かぞく)のことなどで悩(なや)みがあったら抱(かか)え込(こ)まずに相談(そうだん)してください。
◇法務局(ほうむきょく)こどもの人権(じんけん)110番(ばん)
【電話】0120-007-110
月曜日(げつようび)~金曜日(きんようび)
8時(じ)30分(ぷん)~17時(じ)15分(ふん)
◇こどもの人権SOS(じんけんえすおーえす)ミニレター
電話(がっこう)での相談(そうだん)が難(むずか)しい場合(ばあい)は、5月(がつ)から7月(がつ)までの間(あいだ)に小・中学校(しょうちゅうがっこう)で配(くば)られるミニレターを使(つか)って相談内容(そうだんないよう)を書(か)いて送(おく)ると、返事(へんじ)が送(おく)られます。
幼少期から人権教育や人権啓発に触れることが、豊かな人権感覚を育むことにつながります。
市は、年間を通して人権に関するさまざまなイベントを実施しています。人権について考えるきっかけになりますので、ぜひ、親子で参加してください。
問い合わせ:人権政策課課長 谷本吉隆(たにもとよしたか)
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