「職人は黙々と作業し、多くを語らない人」という勝手なイメージを抱いて、今号の特集の取材に向かいました。取材先は、表紙に登場した伊勢型紙の道具彫り職人である今坂千秋さんのご自宅。作業場に笑顔で迎え入れられ、気さくに伊勢型紙の魅力について話される様子は、当初抱いていた職人のイメージとずいぶん違います。
実際に彫っているところを撮影する場面になると雰囲気が一変、机に向かい真剣に型紙を彫る表情と姿は私が思い描く職人そのものでした。撮影後、「弟子が作ってくれたんです」とうれしそうに机に置かれた色鮮やかな道具入れを見せてくれた今坂さんは、元の優しい顔に。
伝統の技を極め後世に伝えること、そして周りへの感謝や心遣いを大切にすること。職人の生き方に触れた取材でした。(由)
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