中学校での「学校部活動の地域移行」が、全国的に進められています。背景にあるのは、急速に進む少子化です。近年、学校は生徒数・学級数が減少し、さらには教員数も減少してきています。そのことに伴い、学校部活動は「部員が足りずチームが編成できない」、「活動したい部活動が設置されていない」、「専門的な指導ができる教員がいない」などのさまざまな課題を抱えています。
これらの課題を解決するために、休日の学校部活動を地域に移行することで、子どもたちが将来にわたってスポーツや文化・芸術活動に親しめる充実した機会を確保していこうという取り組みを進めています。
■休日の学校部活動地域移行
これまで中学校教員が顧問となり学校主体で行ってきた部活動を、地域の方などが行う仕組みに整備することを「学校部活動の地域移行」といいます。
本市は、令和8年10月以降、土・日曜日や祝・休日は、地域や競技団体などが運営する「休日の活動」に移行します。
◇休日の学校部活動の運営体制の変更点
・運営主体(学校)→地域やスポーツ競技団体、文化芸術団体など
・実施場所(学校)→活動に適した場所
・指導者(教員)→地域の指導者
◇地域移行のメリット
・子ども…さまざまな活動を選択でき、より専門的な指導を受けることができる
・地域…地域の方と子どもたちが交流する機会が増え、地域の活性化につながる
・教員…教員が生徒と向き合う時間や、授業の準備をする時間が増え
◇地域移行のQ and A
Q.「休日の活動」は、どのような活動があるの?
A.スポーツ活動、文化・芸術活動、地域行事・地域活動などがあり、子どもたちが自分に合った活動を自分のペースで選択することができます。
Q.「休日の活動」に参加する場合はどのような費用が必要?
A.活動団体によって異なりますが、保険料や消耗品費、指導者の指導料などを想定しています。
Q.大会やコンクールへの参加はどうなるの?
A.運動部は、中学校体育連盟が主催する大会に学校部活動として参加することができます。文化部については、現在検討中です。
■試験的に実施中!休日の活動を実際に体験
令和8年10月から本格実施する「休日の部活動地域移行」に向けて、試験的にモデル事業として活動を実施しています。令和6年度は「ハンドボール」「ソフトテニス」「ソフトボール」「卓球」の4種目で、各中学校から参加を希望した生徒が集まり、地域の指導者や競技団体から指導を受けています。各種目の指導者と、モデル事業に参加した生徒に話を聞きました。
◇「ハンドボール」生徒一人一人を大切に
年代に応じた育成方法があるため、中学生がレベルアップするために必要なトレーニングを考えて指導しています。選手複数人で指導を行っており、けがをしている子にはその子にあったメニューを考えるなど、生徒一人一人の状況に応じて丁寧に指導することを大事にしています。
三重バイオレットアイリス コーチ 石立真悠子(いしたてまゆこ)さん
◇「ソフトテニス」練習を通じて高めあってほしい
コートをしっかり使い、ボールにたくさん触れてもらうことを意識して、練習を行っています。学校間の垣根を超えて練習を行うので、他校の生徒や指導者のプレーなど、いろんなプレーを見てもらう良い機会になります。練習を通じてテニス仲間を作ってもらい、ここで体験したことを中学校でフィードバックして、生徒同士で高めあってくれたらうれしいです。
三重県ソフトテニス連盟鈴鹿支部 支部長 石坂健(いしざかたけし)さん
◇「ソフトボール」選手目線でアドバイス
生徒たちに指導しながら自分たちも一緒にプレーし、ソフトボールの楽しさを伝えています。指導する際は、選手目線でプレーのアドバイスをしています。その際、すぐに答えを言うのではなく、どうしたらボールが捕りやすいかなど、自分たちで考えてもらうことを意識しています。
鈴鹿ルチアーノ選手 山口紗耶佳(やまぐちさやか)さん
◇「卓球」生徒の個性に合わせて指導
目や体の動かし方、体幹や姿勢など、プレーにおいて大切な要素がたくさんあり、生徒によって打ち方が異なるため、試行錯誤しながら、生徒それぞれの個性に合わせて教えるように意識しています。生徒との距離感を大切に、話しやすい雰囲気作りを心掛けています。
鈴鹿市卓球協会 理事 長谷川裕之(はせがわひろゆき)さん
中学校の部活動は、子どもたちが学校という身近な場所でスポーツや文化・芸術活動に触れ、競技力や技術・体力を向上させるとともに、達成感や連帯感を育む活動として、定着してきました。しかし、少子化に伴い、これまでの部活動が維持しにくい状態となっています。また、本市教職員の時間外労働時間の多さが看過できない状況にあることを踏まえ、抜本的な改革が必要となっています。
本市中学校は、令和8年10月以降、休日の学校部活動は実施しないこととなりますが、地域のさまざまな団体に活動を担ってもらうことにより、生徒のニーズに合った活動を選択できるようにします。
今後は、関係各課や競技団体などと連携し、中学生が参加できる活動場所の確保に努めてまいります。市民の皆さまには、この活動にお力添えいただき、本市の中学生の居場所づくりに向けて、ご協力をお願いします。
鈴鹿市教育長 廣田隆延(ひろたたかのぶ)
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