■旧山田家住宅
▽武家屋敷のような重厚な構え
東一口(ひがしいもあらい)の中ほどに壮大な長屋門を構えた旧山田家住宅があります。
東一口は巨椋池の干拓前、全戸数の9割以上が巨椋池や宇治川での漁業によって生活を営んでいました。巨椋池での漁は、古くから漁をする権利を持った弾正(だんじょう)町(京都市)、小倉(おぐら)村(宇治市)、三栖(みす)村(京都市)、そして東一口村の4か郷に限られていました。山田家は、東一口を含む御牧郷13か村をまとめた大庄屋で巨椋池漁業の取りまとめ役を務めていました。
巨椋池が干拓された今、かつての漁業集落の面影や情景を東一口の地から偲ぶことはできませんが、この長屋門からは幾世紀もつづいた漁業の繁栄を感じることができます。
久御山町では、長屋門の屋根などの修復工事を行い、平成29年から一般公開を行っています。公開にあたっては、地元の「ふるさとを学ぶ会」の絶大な協力を仰ぎながら、毎月の公開や季節に合わせた特別公開を行い、久御山町の歴史を語る上で外すことのできない貴重な財産として活用されてきました。
こうした歩みを継承し、4月からは久御山町文化スポーツ事業団が運営管理し、毎週土・日曜日、祝日に開館することになりました。
久御山町にある歴史的価値の高い旧山田家住宅をぜひご覧ください。
▽国登録有形文化財に認定
建築年代は、建築様式からみて江戸時代後期の建築と推測されます。平成22年に旧山田家住宅(長屋門・長塀・主屋)が国の登録有形文化財建造物に登録され、平成25年に所有者の山田賀繼(やまだよしつぐ)さんから久御山町へ寄贈されました。
敷地は、東西約40メートル、南北約30メートルで水害の危険を考えて石垣の上に築かれ、入口の長屋門は、飾り瓦を棟にのせた本瓦葺で漆喰塗の壁、与力窓、出格子が付くなど、重厚な構えです。
▽家紋
山田家は、苗字帯刀を許され、家紋は「丸に五つ引き」です。
屋根には家紋を練り込んだ瓦が組み込まれています。
▽鯉と網代模様の欄間
主屋座敷の鴨居にある「波間に鯉」と「網代模様」の欄間は、かつての巨椋池漁業の繁栄を物語っています。
▽漁具
巨椋池は水深が浅かったため、漁具はそれに適した特徴のあるものが使われていました。展示室では、漁具や絵図を展示しています。
▽保存活用計画検討委員会
旧山田家住宅を適切に保存し、中長期的な活用を具現化するため、令和4年に有識者による保存活用計画検討委員会を設立しました。委員会で地盤状況把握の必要性が示され、令和5年8月から10月にボーリング調査を実施。地盤沈下についてはすぐに地盤が崩れる心配は少なく、液状化についても顕著な被害の可能性も少ないと分かりました。
今後、委員会では、保存活用計画の策定や講演会の実施により、保存活用の機運醸成を図っていきます。
《アクセス・開館情報》
開館日:毎週土・日曜日、祝日(年末年始を除く)
開館時間:午前9時~正午
入館料:200円
※地図は本誌3ページをご覧ください。
問合せ:久御山町文化スポーツ事業団
【電話】0774-45-0002
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