■パリでメダル獲得へ―高谷大地の2024年が始まる
パリ五輪出場決定 レスリング(自衛隊/網野町出身)高谷大地
2023年、レスリング世界選手権大会で3位に入賞しパリ五輪への出場権獲得。新年を地元で迎えた高谷選手に話を伺いました。
―兄の背中を追って
「網野高校卒業後は、拓殖大学に進学しました。兄(高谷惣亮(たかたにそうすけ)選手)が進学して、自分も同じ拓殖大学でやりたい、とずっと思っていました。拓殖大学での練習で記憶に残っているのは、4回生が厳しくて怖かったこと。〝惣亮の弟〟であることで、ひいきされていると周囲に思われるのが嫌だったし、兄に恥をかかせたくないという気持ちもあり毎日必死で練習に取り組みました。その姿勢が先輩たちにも理解してもらえたと思います」
―大学卒業後は自衛隊へ
「大学一回生の時は全日本選手権大会で優勝することができましたが、二回生以降は良い結果が残せず、企業に入ってやっていく自信がなかったです。そんな時、自衛隊体育学校の井上謙二(いのうえけんじ)さん(網野町出身)や大学の先輩らから誘われ、自衛隊に所属することを決めました」
―とにかく楽しくやりたい
「65kg級で自衛隊に所属していた私は、調子が悪いわけではなかったですが結果が出せず、大学の後輩に負けることもありました。減量苦も重なり、練習がただ体重を落とすためだけのものになり、楽しかったレスリングが楽しくなくなっていました。そこに、74kg級でパリ五輪を狙うチャンスがあるという話があって、減量苦があるなかで階級を上げたいと思うようになりました。自衛隊所属の条件に65kg級というのがあったことや同じチームに74kg級の選手がいたりして、反対意見もありましたが、試合でも結果が出せない状況の私としては〝とにかく楽しくレスリングがやりたい〟という気持ちが強く、チームにも納得してもらい階級を上げました」
―2023年9月、五輪かけ世界戦へ
「昨年、セルビアのベオグラードで開催された五輪選考を兼ねた世界選手権大会では、準々決勝で世界チャンピオンと対戦。負けてしまったんですが、落ち込むことはなかったです。むしろ、差が縮まったというポジティブな気持ちと自信が湧いてきました。「これならいけるんじゃないか」という気持ちで敗者復活戦に望みをかけました。3位決定戦では、先に4点を獲られ「自分はこんなものか︙」と思いましたが「勝敗は最後まで分からない」という気持ちで攻め抜き、逆転することができました。3位が確定した瞬間、気持ちが言葉にできなかった、声も出ず、とにかく嬉しかったのを覚えています」
―パリ五輪に向けて
「金メダル獲得を目指します。その姿を通してレスリングを知らない人に知ってもらいたいし、レスリングをやりたいと思ってもらえるように頑張りたい。試合が終わるまで結果はわからないので、最後まで集中して挑みたいと思います」
▽次は大地の番 井上謙二監督(自衛隊)
「2012年から兄・惣亮選手が3大会連続で五輪出場、大地選手は代表チームのスタッフとして兄のサポートを一生懸命にやっていました。兄の姿や自身の経験から最後まで勝敗はわからない、最後までやらないと勝てない、という強い思いがあって、毎日、立てなくなるほど練習しています。日々限界を超えて強くなっているんだと思います。メダル獲得も充分に期待できるレベルまで上がってきているので、本番では練習の成果を存分にぶつけて欲しいと思います」
▽兄弟で目指した栄光 兄・高谷惣亮選手(拓殖大学・監督)
「オリンピックでのメダル獲得は兄弟で夢見た栄光です。私自身4大会連続出場は叶いませんでしたが、私を超えて栄光を勝ち取って欲しいです」
▽DAICHI TAKATANI
Physical Training School JSDF
レスリング・フリースタイル74kg級
三人兄弟の三男。小学生の時、兄(長男)のレスリング姿に憧れ、レスリングを始める。その後、5歳上の次男・惣亮選手がレスリングを始め頭角を現すと、大地選手は兄(惣亮)を目標に網野高校、拓殖大学でキャリアを積む。自衛隊に所属してから結果に悩む日々が続くが、階級を上げてパワーアップ。今年開催のパリ五輪ではメダル獲得が期待されている。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>