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《特集》認知症とともに~私らしく生きよう~(2)

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京都府京田辺市

■心配する夫をケセラセラと明るく励ます妻 互いに寄り添い支え合う
京田辺市に住んで45年、結婚して57年目を迎える奥野夫妻。妻のき美さんは、2年程前から物忘れが増えるなど、認知機能の低下がみられる一方、夫の喜一さんも持病を抱えて通院しています。現在、互いに支え合いながら暮らしている奥野夫妻に話を伺いました。

◆Interview 奥野き美さん(81)
「メガネが似合うと周りからよく言われ、ファッションとして伊達メガネを着用しています。」

◇自身や夫について教えてください
物忘れが進んでいるのは自分でも実感しています。ただ、一人ではもじもじしている夫を、私がしっかりと支えてあげないとダメだと思っています。夫は少し心配性なところがあり、いつも私を気遣ってくれるけど、心配し過ぎなんです。私は自分のことを全然心配していません。夫の病気も仕方ないし、まな板の上の鯉の境地で、なるようになるさと思っています。ケセラセラ~♪
でも、そんな夫のことを娘たちはみんな大好きで、完全に「お父さんっ子」です。また、地域の役をしたり、長らく卓球を続けてきたりして、地域のこどもたちからは「おっちゃん、おっちゃん!」と親しまれていることがうれしいですね。

◇今後したいことは何ですか
私はご飯を作ることが好きなので、物忘れが進んでも、これからも料理は任せてほしいです。
若い頃、英語を勉強するためにカナダへ留学を試みたことがあります。結局実現しませんでしたが、英語を学びたい気持ちは今でも生きています(会話にも英語のフレーズが散りばめられる)。また、5歳の頃に地域の夏祭りに参加して大好きになった盆踊りはずっと続けていきたいですね。

◆Interview 奥野喜一さん(85)
「卓球歴は約30年。今は、生き物の密着番組を毎週楽しく視聴しています。」

◇妻のことについて教えてください
妻の認知機能が低下してきていることで、「今日は何日?」など同じことを何度も聞かれたり、同じ動作を繰り返したりすることがよく見られます。物を元の場所に戻せず、意外なところで発見することも多いです。また、互いに思い通りにいかず、時々口げんかになることもありますね。すぐ仲直りしますけど。
妻にはずっと苦労を掛けてきたので、今はしたいようにしてもらっています。ただ、私自身は持病を抱えているため、もし自分が入院したら妻が一人になることがとても心配です(涙ぐみながら)。

◇対策していることはありますか
認知機能を維持するためには、外に出てたくさんの刺激を与えた方が良いと思い、以前は一緒に買い物に行っていました。ところが、買い物中に妻がどこかに行ってしまうことが増えてきたため、今ではやむを得ず一人で行くようにしています。

◇今後したいことは何ですか
人に迷惑を掛けないようにして、できるだけ楽しく過ごしたいですね。

◆みんなで踊った炭坑節
認知症コミュニケーションカフェ「え~ると待ち合わせ」の7月のテーマは夏祭り。参加した25人は、輪になって炭坑節を踊りました。き美さんは浴衣を着て、「月がでたで~た~♪」と笑顔があふれていました。
〔7月18日、アル・プラザ京田辺にて〕

◆奥野家の物忘れ対策
・冷蔵庫に保存している食材などはリストにして扉に貼り、使った物は消すことで一目で分かるように管理
・重要なことは、紙に書き部屋のあちこちに掲示

◆娘が作成(写真は本紙参照)
・夫妻の趣味である盆踊りと卓球を楽しむ様子を表した人形
・夫妻を中心とした家族のイラスト。ファイルに入れて大切に保管しています。

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