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《特集》古代の息吹を感じる 京たなべの集落遺跡(1)

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京都府京田辺市

今から約2千800年以上前の縄文時代、私たちと同じように現在の京田辺市域で生活していた人がいます。山崎遺跡(三山木)や薪遺跡で、縄文時代中期末の遺物や遺構が発見されており、狩猟や漁猟による原始生活が木津川流域で始まっていたと考えられています。
弥生時代に入ると、朝鮮半島から稲作の技術や青銅器・鉄器などの金属器が伝わり、薄手で文様が質素な弥生土器が使われていました。

■本市の遺跡
「遺跡」とは、貝塚・集落・古墳など、過去の人類の生活や活動の跡をいいます。本市には167カ所の大小さまざまな遺跡があり、縄文時代の遺跡の数は少ないですが、弥生時代以降からその数は増加します。
今号では、今も現存する田辺天神山遺跡をはじめ、代表的な集落遺跡や出土品を紹介します。

■表紙(本紙表紙の写真・P2の図を参照)の出土品を紹介
(1)銅銭…二又遺跡(奈良~平安時代)
(2)緑釉四足壺…田辺遺跡(平安時代)
(3)須恵器…宮ノ口4号墳(古墳時代)
(4)石包丁…狼谷遺跡(弥生時代)
(5)鉄釘…堀切10号墳(古墳時代)
(6)須恵器・黒色土器…三山木遺跡(平安時代)
(7)甕…田辺遺跡(鎌倉~室町時代)
(8)勾玉…三山木遺跡(弥生~古墳時代)
(9)弥生土器…南垣内遺跡(弥生時代)
(10)瓦…三山木廃寺(奈良時代)
(11)土器・陶磁器…門田遺跡(鎌倉時代)

■年表と今号で紹介する遺跡

◇豆知識「弥生」という名称の由来は?
明治17年、弥生町遺跡(現 東京都文京区)の貝塚から発見された土器が、縄文土器とは異なる特徴をもっていたことから、発見地にちなんで「弥生式土器」と命名されました。同土器は一般的には、「縄文土器と比べると形・装飾が簡素で、高温で焼かれて色は明るく丈夫」と評されますが、実際には、各地域で個性豊かに発達しました。

■府遺跡マップ
本市を含む府内の遺跡の分布図・名称・時代をインターネットで簡単に調べることができます。詳しくは、本紙の2次元コードからご覧ください。

■南垣内(みなみがいと)遺跡〔弥生時代中期〕
~墓に供えられた土器が大量に出土~
南垣内遺跡は、草内小学校を中心に広がる集落跡です。平成4年、草内幼稚園の建設に伴う調査で、周囲に16m×14mの溝が巡る四角い墓(方形周溝墓)が発見されました。中央部にはひつぎを入れた穴が2つあり、溝からは、死者へのお供えの土器がたくさん見つかりました。土器は河内(現 大阪府東部)や伊賀(現 三重県北西部)で作られたものがあり、同集落では他地域と交流があったと考えられています。

■田辺天神山(たなべてんじんやま)遺跡〔弥生時代後期〕
~南山城を代表する高地性集落~
田辺天神山遺跡は、同志社大学・同志社女子大学のキャンパスが広がる標高80mの丘陵地の頂部にあり、集落跡としては市内で唯一の府指定史跡で平成18年に登録されました。昭和43年の発掘調査では、20軒の竪穴住居跡が重複して見つかっており、一時期に4軒程度の小さな集落が、住居を作り替えながら長い期間営まれていた様子が確認されています。この地の住人は、近隣の集落と交流することによって、存続していたと考えられています。
同遺跡の特徴は、稲作が始まり、低地に多くの集落が形成されていた時代にも関わらず、稲作に適さない高地で生活が営まれたことです。このような遺跡は、「高地性集落」と呼ばれています。人口増加のため丘陵地まで人の生活圏が広がったほか、戦のための見張りや交易のために川を渡る船を監視する役割があったと考えられています。食糧確保に欠かせない田んぼから離れて暮らせる環境からは、縄張りなど地域のルールがあったと推測されます。

■興戸(こうど)遺跡〔縄文時代晩期~鎌倉時代〕
~古代山陰・山陽道が通る古代の役所~興戸遺跡は、興戸地区を中心に広がる市内有数の規模を誇る集落跡です。市役所や警察署など公共施設が集中するエリアであることから、これまで20回の調査が行われ、縄文時代晩期から鎌倉時代までの土器や建物跡が見つかっています。遺跡を南北に縦断する現在の府道は、古代山陰・山陽併用道路の位置を踏襲しているとされ、整然と並んだ掘立柱建物跡群(地面に穴を掘り柱を立てて作る建物)や井戸跡が発見されています。また、田辺中学校の南側付近では、奈良時代の瓦の破片が出土しています。墨書土器やすずりなどの特徴的な遺物が出土していることから、古代の役所や寺院があったと考えられています。

◇豆知識
3月にグランドオープンする新たな公園「タナクロ」は遺跡の上にできています。

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