■京都府知事 西脇 隆俊
明けましておめでとうございます。府民の皆さまにおかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
この度の令和6年能登半島地震において甚大な被害が発生し、多くの方がお亡くなりになられました。さらに、羽田空港において、地震の支援物資を輸送中の海上保安庁機と日本航空機の事故が発生し、海上保安庁の隊員5名が亡くなられました。お亡くなりになられた皆様に、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、地震で被災された皆様、事故で負傷された皆様に心からお見舞いを申し上げます。京都府でも、地震発生直後から総力を挙げて救助活動等に取り組んでおり、一日でも早く日常が戻りますよう、引き続き、復旧・復興に取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
昨年を振り返りますと、まず新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更され、世の中が少しずつ日常を取り戻しました。長きにわたり感染防止対策にご協力いただいた府民の皆さま、そして、医療従事者をはじめ関係の皆さまに、心から感謝と敬意を表します。そして、明治以来中央省庁で初となる文化庁の京都移転が実現しました。千年にわたる歴史と文化が日々の生活に息づく京都で国と協力して新しい文化政策を創り上げることは、京都のみならず日本全体の地方創生推進に向けての大きな一歩であり、私たちは着実に新たな歴史の扉を開けつつあります。
「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む」。これは、明治時代に活躍した啓蒙思想家・福沢諭吉の言葉です。目まぐるしく社会が変化を続ける現代において歩みを止めることは、後退するに等しいかもしれません。しかし、時代の変化を柔軟に受け容れながら、受け継がれてきた伝統に常に新しい息吹を吹き込む営みは、これまで京都が脈々と続けてきたことであり、これからも京都が担っていくことです。時には歩みを止めて振り返ることも必要ですが、社会が歴史的な転換点を迎えている中、小さな歩みを積み重ねて大きな前進につなげ、新しい価値を常に生み出し続け、活力にあふれ誇りの持てる京都づくりを進めてまいります。
来年には、いよいよ大阪・関西万博が開幕します。新名神高速道路も全線開通に向け、着実に整備が進められております。私たち京都が得意とする交流の力を発揮して、多くの人、企業、文化の「新しいつながり」を創り、伝統と革新を融合させながら、未来の京都を担う人や企業を育て、文化を創ってまいります。そして、「文化の都・京都」を世界に発信しながら、世界の人たちを京都府全域でおもてなししたいと考えております。
今年は辰年です。雲を払い、蒼天に向かって昇っていく龍のように、私たちに託された京都の未来に向けて、京都府総合計画に掲げた一つ一つのプロジェクトを大きく動かしてまいります。
今年一年の皆さまのご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のごあいさつといたします。
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