[特集]未来を切り開く宇治のものづくり(1)

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今年4月に大阪・関西万博が開催されることで注目を集める「ものづくりの最先端」に日々挑み続けるベンチャー企業、中でも新しいビジネスモデルを開拓しているスタートアップ企業を紹介します。
未来を切り開く宇治のものづくりの世界を覗いてみませんか。

■宇治ベンチャー企業育成工場
独自性の高い先端的な技術力、開発力、製造能力を有した企業が入居し、製品の試作・製造を行っています。
所在地：大久保町西ノ端1番地の25

◇現在の入居企業
・株式会社OPTMASS(オプトマス)
透明太陽電池の材料の開発・製造・販売
→P.03へ

・株式会社エネコートテクノロジーズ
ぺロブスカイト太陽電池の材料・モジュールの開発・製造
→P.04へ

・メトロウェザー株式会社
リモートセンシング技術を応用した大気計測装置の開発・製作・販売
→P.05へ

・株式会社DFC(ディーエフシー)
フローケミストリー用途の装置開発及び製造販売

・3rd Cars(サード　カーズ)株式会社
自動車の研究開発用プラットフォームの開発、製造販売

・株式会社ユー・エム・アイ
高機能プラスチックの超精密機械部品加工・販売

・株式会社ShinSei(シンセイ)
プラスチック射出成形用金型の設計、製作

宇治市は、京都府内有数の製造業の集積地域です。市内で働く人のうち、製造業に関わって働く人の割合は20%と最も高く、市の産業における生産額の約30%を占めています。
平成17年、京都フェニックスパーク(大久保町)内に宇治ベンチャー企業育成工場を開設し、脱炭素に向けて必要不可欠となる新たな太陽光発電技術やドローンの飛行に重要な風を観測する技術など、日本、そして世界の未来を変え得る最先端技術の研究開発・生産を行うベンチャー企業が入居しています。
これらの企業が成長することにより、宇治に新たな産業が生まれ、ひいては雇用の創出や市内企業間の取引が増加し、市内経済が活性化することを目指しています。
この特集を通じて、未来を切り開く最先端の宇治発のものづくり企業に注目していただければと思います。
宇治市長　松村　淳子(まつむ　らあつこ)

[CASE.1]株式会社OPTMASS(オプトマス)
◆太陽光からエネルギーの地産地消を目指して
▽太陽を全て活用する
脱炭素社会を実現するうえで、太陽は重要なエネルギーであるにも関わらず、現在は可視光部分しか活用されず、残り半分の赤外光は未活用でした。赤外光は地球温暖化の原因でもあるため、この未活用な赤外光を活用することが温暖化防止に直結すると考え、あらゆるシーンで活用しやすい透明な太陽電池を開発することにしました。

▽宇治ベンチャー企業育成工場に入居して
京都大学在籍中に、大学からの後押しもあり起業しました。同じような研究の先行例が少なく、周囲に理解してもらえず不安も大きかったですが、「絶対にやってやる」という気持ちでスタートしました。
宇治ベンチャー企業育成工場では、やりたい実験が出来、広さも確保されていたので、すぐに入居を決め、今年で3年になります。新しい素材が生まれると、新しい製品が誕生し、人々の生活が豊かになると思っており、新素材を十分に研究出来る環境の良さを実感しています。

▽無色透明なフィルムで挑む
赤外光のみを吸収する素材を半導体の中から発見し、オリジナル素材として量産出来ることが自社の強みです。無色透明なオリジナル素材を活用し、太陽光を遮断するフィルムを製造しています。まだ実験段階ですが、室温マイナス3度、空調の30%省エネを達成しており、製品化に向けて改良中です。
透明な太陽電池は、他社製品に比べて耐久性・透過率・熱線遮蔽率は高いですが、太陽電池の要であるエネルギーの変換効率の低さが課題です。色を付ければ変換効率をあげることは簡単ですが、“透明”にこだわっているので、両方のバランスを考えながら課題を解決していきます。

▽街を森に変えたい
「大学の最先端の技術を世に出したい」という思いがあり、自分たちのような新しいビジネスモデルを開拓するスタートアップを通じて皆に知ってもらうことにやりがいを感じています。まずは、熱線遮蔽フィルムや透明の太陽電池を製品化し、世間に広めていくことが目標です。
最終的には、〝透明”にこだわっているからこそ例えば街中のビルのガラスや、各家庭の窓ガラスなどに自社製品が使用され、街があたかも森のように地球温暖化防止に貢献出来る社会の実現を目指しています。
代表取締役　坂本 雅典(さかもと　まさのり)さん

[DATA]
株式会社OPTMASS
事業内容：透明太陽電池、熱線遮蔽の材料の開発・製造・販売
創業：2021年

※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。