■第34回紫式部文学賞受賞者コラム~文明の光と闇~
皆川 博子(みながわ ひろこ)さん
九十五年を生きてきて、過ぎた時を振りかえると、日常の生活がどれほど便利になったことか、文明の進歩のありがたさをつくづく感じます。井戸端にしゃがみ、ポンプで汲み上げた水を盥(たらい)に入れ、洗濯板に広げてごしごし擦り洗いし、両手で絞り上げ、物干し竿で干していた。それが今では、自動洗濯機のスイッチを入れるだけで、乾燥まですみます。
しかし、文明の進化は武器の進化をももたらすと痛感します。理非に拘わらず、強い殺傷力のある武器を大量に持った方が勝つ。十三世紀、バルト海沿岸に昔から住んでいた人々を、十字軍や騎士団が攻撃し領土を拡張していく過程を、物語として「文藝」(河出書房新社)に連載中ですが、攻撃する側は弩(いしゆみ)、投石機、攻城塔など、先住民の知らない武器を用いて残忍な殺戮を行い、土地を奪う。『北の十字軍』(山内進)、『剣と清貧のヨーロッパ』(佐藤彰一)などでその実態を知りました。やがて大砲が発明される。第一次大戦では毒ガスが用いられる。第二次大戦では原子爆弾。そうして現在の恐怖は核ミサイル。
幼い子供を見かけると、戦争を知らないまま大きくなれますように、と思うのですが、すでに知ってしまった子供たちが、今、世界にどれほどいることか…。
問合せ:文化スポーツ課
私たちは人生の3分の1を眠って過ごし、また、健やかな睡眠があってこそ、十分な休養をとることが出来ます。最も身近な生活習慣である睡眠に目を向けてみませんか。
◇適正な睡眠時間
睡眠により休まった感覚(休養感)は適切な睡眠の目安ですが、令和5年度の市健康づくり・食育に関するアンケート調査(16歳以上)では、「十分睡眠がとれており、休養もとれている」と感じている人の割合が、4割未満という結果でした。
[今の睡眠時間で、十分休養がとれていると感じているか(16歳以上)]
適正な睡眠時間には個人差がありますが、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人で1日に少なくとも6時間以上の睡眠時間を確保出来るように努めることが推奨されています。
◇休日の「寝だめ」は逆効果
平日に蓄積した睡眠負債を後から解消するために、休日に長く眠る「寝だめ」の習慣を持つ人が働く世代には少なくありません。
しかし、休日に寝だめをすることで、就寝・起床の時刻に平日と休日とでずれが生じ、体内時計が乱れるという代償が伴います。体内時計にずれが生じることで、肥満や糖尿病などの生活習慣病、脳血管障害や心血管系疾患、うつ病などのさまざまな発症リスクを高めることが報告されています。
◇睡眠による休養感を高める工夫
・夕方以降はカフェインを控える
カフェインには覚醒作用や利尿作用があるため眠りを浅くしたり、途中でトイレに起きたりする原因にもなります。
〔カフェインを含む飲料〕
コーヒー、緑茶、紅茶、ココア、栄養ドリンクなど
・スマートフォンの使用を控える
電子機器の画面が放つ光「ブルーライト」は、人間の目でとらえられる光線のなかで一番エネルギーが高く、見続けていると交感神経が興奮し、目が冴えてしまいます。睡眠の1~2時間前からスマートフォンやパソコンの使用を控えましょう。
・喫煙をしない
タバコに含まれるニコチンは覚醒作用があり、眠りを妨げます。さらに、喫煙歴の長い人では睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなることにも注意が必要です。睡眠以外の健康のためにも喫煙は控えましょう。
出典:厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
問合せ:健康づくり推進課
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