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文化財を訪ねて story6

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京都府宇治田原町

■高尾の水神さん
弘法の井戸から北坂を少し下った山の中に、宇治田原町文化財百選に載っている「水神、山神」の碑がある。
その昔、高尾は幕府直轄の天領であったため、明治22年に田原村に編入されるまで久世郡高尾村であった。
高尾領は山裾に宇治川、田原川が流れており、古くから鮎漁の免許を受けて汲鮎が盛んに行われていた。この合流地点を「辻堂」と呼び、小高い丘に水神松の大木があり「山神」と並んで「水神」が祀られたのが始まりで、高尾の住民にとって鮎漁の守護神とされていた。
与謝蕪村が田原を訪れ「宇治行」の中で記している「最高頂上に人家見えて高尾村といふ。汲鮎を生業として世わたるたよりとなすよし」の文と「鮎落ちていよいよ高き尾上かな」の句は、この「辻堂」から詠んだと思われ、高尾村が漁村と思わせるほど鮎漁が盛んであった事がうかがえる。
この地域に守り伝えられてきた「水神さん」は、昭和39年に天ヶ瀬ダムの完成で水没することになったため、現在の場所に移転されたが、今も毎年9月の敬老の日に、白餅(米粉の団子)をお供えし、水の幸(今は弘法の井戸)、山の幸に感謝している。

文化財保護委員会委員
植村良信(高尾在住)

問合せ:文化財保護委員会事務局(社会教育課)
【電話】88-6613

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