今回の特別展に出陳される文化財から、木津川市とゆかりのある人物を紹介します。
鶯瀧寺袋中上人坐像(おうりゅうじたいちゅうしょうにんざぞう)とは、江戸時代に活躍した浄土宗の僧侶の肖像彫刻です。出身地の福島県を起点として各地で修行をし、明(みん)(今の中国)への渡海を試みたものの上手くいかず、琉球(今の沖縄県)へ渡ることになります。琉球で3年間布教をした後、72歳の冬に浄瑠璃寺の近くに移住し、その後、瓶原(みかのはら)に心光庵(現在の恭仁神社の参道脇)という庵を結んで、そこで13年間過ごしました。
同寺に伝わる袋中上人の伝記を記した『袋中上人絵詞伝』(市指定)によると、天神社(恭仁神社)で人々に「南無阿弥陀仏」と書かれた名号札を配り、念仏を布教したエピソードが残ります。
現在の心光庵跡は石碑が残るのみで、往時の姿はうかがい知れませんが、心光庵を合併した鶯瀧寺には袋中ゆかりの文化財が残り、袋中が瓶原の民衆から親しまれていた様子が分かります。
問合せ:文化財保護課
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