文字サイズ
自治体の皆さまへ

シリーズ健康エッセイ vol.140

11/57

京都府木津川市

■高齢者の入浴事故
平田内科医院 平田真人医師(精華町)

高齢者の入浴中の急死者数は令和3年の厚労省の統計では4,750人で、交通事故死の約2倍です。この原因は大きく2つあります。
1つは急激な温度変化による血圧の変化です。暖房のきいた暖かい部屋から冷え込んだ脱衣所に移動し、衣服を脱ぎ浴室も寒いと血管が縮まり血圧が一気に上昇します。その後、熱い湯に入った時血管が広がり、急に血圧が下がります。この急激な血圧変動により心筋梗塞を起こしたり、脳内に血液が回らなくなり一過性の意識障害を起こし溺れて死亡する原因になります。
もう一つは入浴熱中症です。体温37.0℃の人が全身浴をした場合、湯温が42℃の場合は26分で体温が40℃を達するという研究報告があります。体温が40℃を超えると熱中症の症状が出始めて、意識障害が起き42.5℃に達すると心室細動を起こし突然死する危険性が高まります。
高齢者は血圧を正常に保つ機能が衰えてきています。また、熱さを感じにくく長時間浴槽に浸かる傾向にあります。このためこれらの有害事象が起こりやすくなります。
入浴中の事故は持病や前兆がなく起こる恐れがあります。入浴事故を防ぐ工夫としては、以下の点が挙げられます。
1.入浴前に脱衣所や浴室を温めておく。
2.食後すぐの入浴や飲酒後の入浴は避ける。
3.湯温は41℃以下、お湯に浸かる時間は10分以内にする。
4.浴槽から急に立ち上がらない。
5.入浴する際家族にひと声かける。
安全な入浴を心がけましょう。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU