■木造薬師如来坐像 高田寺(もくぞうやくしにょらいざぞう こうでんじ)(加茂町高田)
本像は高田寺の本尊です。複数の材で像の根幹部をつくる寄木造で、頭と体の比率がよく整い、穏やかで静かな姿が表現され、平安時代、12世紀の典型的な様式を示しています。当初のものが失われやすい台座や光背も、この像の九重蓮華座(くじゅうれんげざ)・二重円相光背は当初のものが残り、非常に貴重です。かつての修理の際、台座の部材から人物の顔を描いた戯画や、藤原実方(ふじわらのさねかた)(?~998年)の和歌「五月(さつき)やみ くらはし山の ほととぎす おぼつかなくも なきわたるかな」の散らし書きなどが見出され、その中に「保安」という文字もあり、本像の様式ともよく合うことから、保安(ほうあん)年間(1120~1124年)に造立されたと考えられています。平安時代の仏像で造立年代が判明するものは珍しく、12世紀前半の基準作例であり、彫刻史上に占める位置は重要であるとして、国の重要文化財に指定されています。
本像は春の秘宝秘仏特別公開で5月3日(金・祝)~5日(日・祝)に、高田寺で公開されます。
問合せ:文化財保護課
【電話】75-1232
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