■木造釈迦如来(もくぞうしゃかにょらい)及び両脇侍坐像(りょうきょうじざぞう) 常念寺(加茂町里)
中世に西大寺の末寺であった観音寺が、江戸時代に廃寺となり、常念寺に移された像です。右手施無畏印(せむいい)、左手与願印(よがんいん)の釈迦如来を中心に、両脇に獅子に乗る文殊菩薩と象に乗る普賢菩薩が配されています。釈迦如来が纏う衣の表現に特徴があり、体部に密着する着衣と蛇行する衣文線は、宋代の仏画を写したものとみられます。鎌倉時代に活躍した仏師快慶の作風と似ているため、鎌倉~南北朝時代の作と考えられたこともありました。しかし、室町時代に奈良の椿井郷を拠点に活躍した椿井仏師の作例中に、近い表現の仏像があり、今では室町時代の作と推定されています。
昨年の奈良国立博物館「聖地南山城」展出陳の際におこなわれた調査で、像内に多くの納入品があることも判りました。特徴ある表現を有する優れた作例であり、保存状態もよく、伝来も明らかで、像内納入品の存在も貴重であることから、令和6年3月に京都府暫定登録文化財となりました。
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