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シリーズ健康エッセイ vol.134

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京都府木津川市

■緊急性のある複視
兎本眼科 兎本明夫医師

よく患者さんが、ものが二重に見えると言って受診されます。

ただ、「輪郭のぼやけ」も「はっきりとした二重の画像」も患者さんは二重に見えると言われます。輪郭のぼやけの多くは、中間透光体の混濁、すなわち白内障やその後方の硝子体の混濁であることが多いです。

ここで言う複視は、眼球運動障害による眼位異常で共同運動失調により一点を見つめることが出来なくなり、物が二重に見える現象です。

眼球運動障害をきたす原因は色々ありますが、緊急性のあるものは脳動脈瘤によるもので特に動眼神経麻痺と外転神経麻痺が上げられます。

動眼神経には、眼球の上・下転、内転、及び眼瞼挙上(瞼を上げる)と縮瞳させる機能があります。そのため、脳動脈瘤破裂の前段階で動眼神経が圧迫されると片眼の瞼が下がり外斜し、散瞳のため調節機能が障害されぼやけて見えます。さらに、頭痛・眼痛をともなっていたなら、緊急の処置が必要と考えられます。

外転神経は、眼球を外側に向ける外直筋を動かします。そのため、外転神経麻痺が起こると眼球の外転制限や内斜してしまうこともあります。外転神経麻痺をきたす疾患は、糖尿病やウイルス性のものが知られていますが、脳動脈瘤が原因のものは4割にも及びます。それは、外転神経が脳底を長距離走行するので色々な病変の影響を受けるためです。しかしながら、突然発症の場合は早々に脳神経内科や脳神経外科の受診をお勧めいたします。

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