■板絵著色十一面観音来迎図(いたえちゃくしょくじゅういちめんかんのんらいごうず) 海住山寺(加茂町例幣)
かつて補陀落山浄土図(ふだらくせんじょうどず)とともに海住山寺本堂の壁画として安置されていた板絵です。本図は画面左上に描かれた観音の浄土・補陀落山から、十一面観音が楽器を奏でる多くの菩薩たちを従えて飛来し、大海原を越えて右下に描かれた僧侶のもとに来迎する場面を表しています。笠置にいた貞慶は、晩年に補陀落山への往生を願い、観音を本尊とする海住山寺へ移ります。海住山寺中興の祖とされる貞慶の十三回忌が元仁2年(1225)におこなわれた時、補陀落山の画図とともに、中国僧・霊叡(れいえい)が観音の来迎を得て補陀落山に往生する様子を描いた画図が海住山寺本堂に安置されたという史料があり、それとの関連が注目されます。一対の補陀落山浄土図が裏面墨書から室町時代の文明5年(1473)に開眼供養されたことが知られ、本図も同時期の本堂修補に際し、霊叡往生図の後身として、製作されたものと考えられています。京都府暫定登録文化財となっています。
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