■吉岡家住宅主屋(おもや)(加茂町尻枝)
吉岡家は加茂町当尾中部に位置する旧家です。江戸時代初期から尻枝村庄屋を歴任し、久居藤堂藩当尾組大庄屋も務めた家です。
吉岡家住宅主屋は、西面が入母屋(いりもや)造(屋根上部の切妻(きりづま)造と下部の寄棟(よせむね)造を組合せた形式)で、東面が高塀(たかへ)造(茅葺(かやぶき)の母屋(もや)部分の妻に瓦葺の小屋根の付いた袖壁(そでかべ)(高塀)を建てて瓦で葺く。)で、高塀の東側を落ち棟の瓦屋根として煙出しを備え、下屋(げや)部分は緩勾配の瓦葺としています。床上は六間取で、土間の七連竈(かまど)は見応えがあります。
現在の主屋は、明治初期に加茂町大野の勝田(しょうだ)家から移築したものと伝わっており、現在の主屋の建築年代を確定する資料は見出されていませんが、イマ・土間境の差鴨居(さしかもい)が突止め溝であるなど古式をとどめており、19世紀前期に遡ると推測されています。吉岡家住宅主屋は保存状況のよい片高塀造民家として貴重で、付属屋などの屋敷構えも備えており、大和地方に多い高塀造の分布の北端域に位置する重要な建物として、令和5年2月に国登録有形文化財となりました。
お詫びと訂正:8月号掲載の第72回の5、6行目に間違いがありました。お詫びし、訂正します。
(誤)8月18日→(正)8月19日
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