■下肢静脈瘤のお話
▽村西循環器クリニック 村西菜苗医師
「下肢静脈瘤」をご存知ですか?足の静脈、特に膝より下の静脈がぼこぼことふくらむ病気です。高齢の方や、立ち仕事が長い方によくみられます。女性の方なら妊娠をきっかけに発症することもあります。見た目だけでなく、「うっ滞症状」と呼ばれる症状を起こします。具体的には、むくみ、だるさ、こむらがえりなどです。「夕方になると足がだるく重い」「靴下のあとがつく」「夜中に足がつってしまい、痛くて目が覚める」などが典型的な症状です。どれも命にかかわるわけではありませんが、本人にとってはつらい症状です。さらにひどくなると、かゆみを伴う皮膚炎をおこしたり、「潰瘍」(皮膚がえぐれてジュクジュクする状態)を起こすこともあります。下腿の治りにくい潰瘍の原因として、実は下肢静脈瘤が隠れていることもあります。
下肢静脈瘤の根本的な治療は「手術」です。10年以上前までは、全身麻酔で原因となる静脈を抜去する手術(ストリッピング手術)が主流でした。現在は、体の負担の少ないカテーテル手術が主流です。カテーテル手術にも「焼灼術」(原因となる静脈を焼いて閉塞させる手術)と、「塞栓術」(原因となる静脈をグルー接着剤で固める手術)があります。どちらが適しているかは、年齢や血管の太さによっても変わりますが、いずれにしても日帰り外来手術が可能です。帰りは歩いて帰れますし、翌日から仕事や入浴も可能です。また、手術しない場合でも、硬化療法やソックスによる圧迫療法など他の治療法もあります。
当院では下肢静脈瘤に対する日帰り手術をおこなっています。またひとりひとりの状況に合わせて、手術以外の治療法の提案も可能です。仕事、家事、育児、介護など、皆様とともに長年がんばってきた足をいたわり、ねぎらってあげましょう。お困りのことがありましたら、気軽に相談ください。
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