■心房細動をご存じですか
医療法人平田内科医院 平田理佳医師
胸のざわつくような動悸や不規則な心拍が続き、来院する患者さんがいます。心房細動によく見られる症状です。一方、心房細動の約4割の方には症状がありません。
心房細動の患者さんは日本で100万人以上とされています。心臓が正常の規則正しいリズムではなく、全く不規則に拍動する状態です。心臓を動かす電気刺激が心臓の一部(心房)で迷走し、心房が痙攣してしまう不整脈です。
心房が痙攣すると中の血液がよどんで、血の塊(血栓)が出来やすくなります。この血の塊が血流に乗って脳の血管を詰まらせると、脳梗塞を引き起こします。
心房細動の患者さんで以下のいずれかの条件に当てはまる方は、重症の脳梗塞を起こす危険性があり、血栓を予防する抗凝固薬が薦められます。(1)75歳以上(2)高血圧(3)糖尿病(4)心不全(5)以前に脳梗塞を起こしたことのある方
心房細動を根治する「カテーテルアブレ-ション」治療の成績が向上しています。カテーテルという細い管状の器具を血管から心房内に挿入し、熱や冷却、あるいはパルスフィールドという電場を用いて部分的に変性させ、迷走する電気刺激を遮断する治療です。
心房細動は進行性の病気とされます。
「7日以内に止まる発作性心房細動」から「7日以上続く持続性心房細動」、さらに「1年以上続く長期持続性心房細動」へと進む傾向があります。
進行すると根治しにくくなります。
発作性心房細動は1回のアブレーション治療で8割以上、2回以上の治療で9割以上根治できると報告されています。一方、持続性心房細動の根治率は7-8割、長期持続性心房細動が1回の治療で治るのは3-4割です。
症状のない心房細動を見つけるにはどうすれば良いでしょうか。年1回健診で心電図や聴診を受けることは、心房細動を見つけるうえで役立ちます。
高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群が心房細動の危険因子です。治療を受けるとともに、通院の際に聴診を受けてください。
かかりつけ医に脈の触れ方をチェックしてもらい、月1回程度脈をとってください。
不整脈を検知する血圧計やスマートウオッチなども診断のきっかけとして有用です。
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